Samsungのクレイジーな冷蔵庫


CES 2016でSamsungがクレイジーな冷蔵庫を発表した。ドアにどデカいタブレットが埋め込んである。

Samsungのホームページより
Samsungのホームページより

ドアにタッチパネルの付いた冷蔵庫は多々あるが、こんなどデカいタブレットを埋め込んだのは前代未聞だ。こんなものを考えるとは、かなりクレイジーだ。

その名も「Family Hub」。この冷蔵庫を中心にして家族のコニュニケーションが図られ、絆が強まるというコンセプトのようだ。

主要な機能として、ドアを閉めるたびに3台のカメラが冷蔵庫内部の写真を撮り、それをこの画面でも確認できるし、外出先からでもスマホなどでこの写真を見ることができ、冷蔵庫の中を確認できるというものがある。

その他、カレンダーを表示させてイベントを書き込んだり、お気に入りの写真を表示させたり、メモやメッセージを書き込んだりすることもできる。

Wi-Fiを通じてインターネットにもつながるので、通常のタブレットを使うのと同様にブラウザで情報を見たり、オンラインショッピングをしたり、レシピを確認したり、メッセージをやり取りしたり、音楽を聴いたり、映画を観たりすることもできる。

画面は21.5インチと大型だが、縦長なのと画面下のボタンからして、タブレットというよりはAndroidスマホのどデカいやつ、と言った方がふさわしい。

宣伝用にショップの店頭にどデカスマホの張りぼてが展示されていることがあるが、それが実機になったようなものだ。

こんなスマホがあったら、と少しワクワするが、実際問題としてこれがいかに使い物にならないかについて、TechCrunchが以下の3点を指摘している。

第1に、白物家電とタブレットでは寿命が違う。冷蔵庫や洗濯機のような白物家電を毎年買い換える人はいない。10年以上使うケースも珍しくない。片やタブレットは1-2年で陳腐化してしまう。10年なんてとてももたない。すなわちハード的に両立しない。

第2に、Samsungの場合、ソフトウエアのアップデートがきちんとされるのかが疑わしい。2-3年前のスマホがアップデート打ち切りになってしまうことは珍しくない。この冷蔵庫も数年後にはアップデートされなくなって機能の一部が使えなくなるというリスクがある。

第3に、家族の誰でも使えるようにすると、子供が親のアカウントを使って無断でオンラインショッピングができてしまうという問題もある。スマホやタブレットならパスコードを設定するという手もあるが、みんなが使う冷蔵庫ではそうもいかない。

そういうわけで、冷蔵庫にタブレットを埋め込んでも使い物にならない。Samsungは、タブレットを買い換えるのと同じ感覚で冷蔵庫を買い換えさせようという魂胆だろうが、その手に乗ってはいけないと警鐘を鳴らす。

この「どデカタブレット」は冷蔵庫のドアから取り外すことはできないものか。もし取り外して持ち運びができるなら、案外売れるかもしれない。持ち運ぶのは少し大変かもしれないが。

基本は別売りにして、プロモーションということにして、冷蔵庫を買うと「どデカタブレット」が付いてくる、または「どデカタブレット」を買うと冷蔵庫が付いてくる、と宣伝した方が消費者は飛びつきやすいのではないか。