T-MobileのBinge Onでみんながハッピーになるとの調査結果


ビデオストリーミングのデータが無料になるT-Mobileの「Binge On」は、ネット中立性の原則に反するなどの批判も出ているが、これで関係者がみんながハッピーになれるとの調査結果が出た。

調査会社のP3 GroupがT-Mobileの顧客1,000人以上を対象に実施したもの。対象顧客にはP3の測定アプリをスマホにインストールしてもらい、Binge Onの開始日の2015年11月15日の前後各6週間について、YouTube、Netflix、Huluなどのアプリごとに速度、使用時間、1日当たりの使用頻度などを測定して比較した。

調査の結果、EFFが指摘したようにBinge Onではビデオのストリーミング・ダウンロード速度が1.5Mbpsに制限されていることが確認されたが、その速度制限が好結果を生んでいることも分かった。

まず、顧客にとってのメリットとしては、データ量を気にせずビデオが視聴できることだ。その結果アプリの使用時間が長くなり、使用頻度も多くなった。

調査によると、アプリを使用する平均秒数が15%から50%長くなった。興味深いことに、NetflixやHuluといったBinge Onの対象サービスだけでなく、YouTubeなどの対象外サービスのアプリの使用時間も長くなっていた。さらに1日当たりの使用頻度も5%から10%増えていた。

調査結果より
Binge On導入前後のアプリ使用頻度(左)と平均秒数(右)(P3 Groupの調査レポートより)

顧客が長時間・頻繁にビデオを視聴することは、ビデオ配信事業者にとってのメリットとなる。Binge Onでデータが無料になるビデオが増えると、プランのデータ許容量を他のビデオ視聴にも充てられるので、Binge Onの対象でないビデオの視聴時間も長くなる。すなわち、Binge Onの対象サービスだけでなく、対象外のサービスもメリットを受けているということだ。

T-Mobileにとってのメリットは、ネットワークを混雑させずに多くのビデオトラフィックを流すことができることだ。それによりさらに多くの顧客を獲得することが期待できる。

すなわちBinge Onのおかげで、顧客も、ビデオ配信事業者も、T-Mobileも、みんなハッピーになれるという結果だ。

これでYouTubeの不満が収まるかどうか。