国際電話がかけ放題になる怪しいアプリ


スウェーデンのVoIP事業者Rebtelが、米国で国際電話がかけ放題になるサービスを開始した。

54か国との間の電話がかけ放題になる。日本も入っている。料金は毎月1ドルの固定額だが、2016年12月末までは無料になる。専用アプリが必要で、着信側のスマホもアプリをインストールしてアカウントを作っておく必要がある。

今までもFace TimeやSkypeなど、アプリ間では無料で国際電話ができるサービスがあったが、無料の範囲が違う。

これまでのアプリ間無料通話は、通話料は無料でもデータ使用料がかかるので、データ無制限のプランでなければ、またはWi-Fiを使っているのでなければ、データの使いすぎを心配する必要があった。

Rebtelの無料通話「Rebel Call」はデータ使用料も無料になるので、データの上限を心配する必要がないというのがメリットだ。

どうしてデータが無料になるかというと、セルラー回線のローカルコールを使用するからだ。すなわち、発信するとRebtelのサーバにローカルコールで電話がつながる。発信国のサーバはインターネットを通じて着信国のサーバにつながり、着信国のサーバがローカルコールで着信者のスマホにつないで通話を可能にする仕組みだ。

つまり、ローカルコールをするだけで国際通話ができる、着信転送サービスのようなもの。公衆電話網−インターネット−公衆電話網というネットワーク構成だ。両端はインターネットにつながっている必要はない。

ただし、場合によってはローカルコールの通話料がかかる。米国ではほとんどの場合、ローカルコールはかけ放題なので問題ないが、そうでないところやプランによっては注意を要する。

このサービスは全体的に少々怪しげな雰囲気だ。まず「Rebel Call」という名称からして、反政府的な雰囲気を醸し出している。

Rebtelのホームページより(以下同じ)
Rebtelのホームページより(以下同じ)

Webサイトのロゴは逆さまだし、宣伝文句も「国際通話を解放するためにリアルの電話回線をハイジャックする」と穏やかでない。

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インストラクションの動画も反政府組織の雰囲気丸出しだ。このご時世によくこんな動画をアップしたものだ。

それに、サーバや着信側のローカルコールのコストをどこで回収しようとしているのか不明だ。月1ドルの固定料ではとても回収できるとは思えないし、まして2016年中は完全無料だ。通話の前に宣伝を聞かされるわけでもなさそうだ。

IBTによれば、ターゲットはミレニアル世代の若者だそうだ。なぜ若者をターゲットにする必要があるのか。

考えれば考えるほど怪しい。しかしタダほど安いものはないので、ミレニアルではないが今度使ってみることにする。