インターネットと選挙> この国ではこのフレーズは10数年の長きに亘ってフリーズしたままです。

インターネット人口9,091万人、人口普及率75.3%という時代になったのに、世帯普及率3%だった1996年から事態は1ミリも進展していません。1996年1月に筆者が当時の自治省選挙部の担当官にインタビューしているので、ちょっと長いけれど記録のために載せておきます。

――政治家個人でホームページを開いている人もいる。選挙期間中に活用することは可能か。
選挙運動に使える文書図画には一定のものしか使えないという厳しい規定がある。極端な話、海辺で候補者の砂文字を書くことも許されない。したがって パソコン画面上で当選を目的とする内容は脱法的な文書図画の一つにあたると解釈せざるを得ない。また、形式的には当選を目的とする直接的な内容でなくて も、禁止規定を免れる意図があれば違反になる。事実認定は難しいが。

――政党のホームページの場合も考え方は同じか。
同じだ。例えば幹部会の報告という形式であっても選挙情勢に言及していれば、それはどうかという話になる。事実認定いかんによるが。

――米国にはすべての大統領候補のスキャンダルを集めた個人のホームページがある。この種のものは日本で許されるのか。
それが特定の候補の当選を目指すものでなければ、公選法の問題ではなく刑法の一般的な名誉棄損にあたるかどうかだ。特定の候補に有利かどうかの事実認定次第では公選法上の問題になりうる。

――公選法は国内法。しかしインターネットは国境を越えることに特徴がある。新進党の小沢さんが党首選で米国にホームページを開いたように、海外にホームページを持ち、選挙活動に利用したらどうか。米国発のわいせつ情報を日本で見ても罰せられないのと同じにならないか。
取り締まりの問題としては確かに難しいだろう。しかし、公選法との関係は詰めたわけではないので、個人的な感じだが、日本国内で見られることを前提に発信するとなれば、犯罪行為の結果発生地が日本だから国内法で処罰することになるのではないか。

――しかし、日米両国語で発信されていれば、日本に関心のある外国人や海外在留の日本人に見てほしいという意図だってあるかもしれない。それでも違反と言えるだろうか。
それは事実認定にかかわる話なので一概には何とも言えない。問題になったことも検討したこともないけれども、一般的に国外で行われたものであれば違反にならないということはないのではないか。例えば韓国でビラを刷って選挙区の有権者に送りつければ違反になる。

――それは相手を特定した場合。インターネットは個人が自発的にアクセスしなければ情報を得られないのだから違うのでは。
検討もしたことがない前提で話しているのだが、少なくとも直ちにセーフだとは言えないのでは。

――アウトだとも言えないということか。
検討していないからすぐには言えないが……。

――マルチメディアへの対応が遅れていないか。
折につけて勉強するようにはしている。しかし、選挙は民主主義の基本であって、公選法はそのルール。選挙運動の規定はその一番大事なところで、これ をどうするかは単に一役所の問題でなく、国会での幅広い議論が必要だ。その点、まだ各党で本格的に議論しようという段階にないのが現状だ。

日本の公選法というのは、やってよいことだけが明記されていて、それ以外の選挙運動は全部アウト、という仕掛けです。ですから、その後の選挙の度に繰り返された問い合わせに対し、ホームページも、電子メールも、YOUTUBEも、ブログもぜ~~~んぶアウトという自治省→総務省解釈が示されるのはあったりまえだったわけです。で、今回、国会議員では6人しかいないというミニグログTwitter活用議員の一人である逢坂誠二・前衆院議員(民主)が、総務省選挙部選挙課に確認したところ、次のような回答があったそうです。

公職選挙法第142条第1項は、選挙運動のために使用する文書図面について、同条に規定する通常葉書又はビラのほかは、頒布することができないと規定しています。
コンピューター等のディスプレイ上に表示された文字等の意識の表示は文書図画に該当するものですが、同条の規定により選挙運動のために頒布することができる文書図画ではないことから、現在、お尋ねのツイッターは選挙運動のために使用することができません。

ね、論理は全く変わってないでしょう。でもでもです。実は、このような解釈に抵触するような事例は、これまでいっぱいあったのです。それに対しては、役所からの内々の「注意」みたいのはあったのですが、警察が動いた事例はゼロなのです。これはどうしてなのか。ホントかどうか知りませんが、かって事情通はこんなふうに解説してくれました。

選挙課が公選法違反だと認識しても、彼らは事件にする権限はない。立件するのは警察。しかし思い切って立件したとしても、検察のほうでは起訴に持っていき、かつ公判維持をする自信がないらしい

うーむ、どなたか風穴を開けてくれないですかね。TwitterでもブログでもYOUTUBEでも選挙期間中ばりばり使ってみる。ホームページの更新もどんどん行い、支持者への会合の知らせは毎日メールで。そうすれば選挙への関心は確実に高まるでしょう。それこそ自治省担当官の言う「民主主義の基本」。

でもまあ、個人が万一、立件され起訴されるとマズイので、政党ぐるみでどうでしょうねえ。とくに劣勢の自民党さんが取り組めばネットに明るい若者にアピールするかもしれません。

追記:あ~~残念。民主党参議院議員の浅尾慶一郎氏が離党会見をいまさっきまでUStreamでやってたらしいけど見逃した。でも、ビデオはUStreamのサイトにありますので拝見しました。いやあ便利なものです。こういうことがコストゼロで出来ちゃうのですから。

ちなみに彼もTwitter国会6人衆の一人。ちなみの残りの4人は、前・衆議院議院の橋本岳(自)、高山智司(民)と参議院議員の藤末健三(民)、松浦大悟(民)の各氏。ここでも自民は劣勢ですねえ。