10月6日のエントリーで、非営利のオンラインニュース機関が米国で注目を集めていることを紹介しました。調査報道専門のProPublicaの活躍ぶりは有名になりましたし、来月3日からはテキサス州ヒューストンでTexas Tribuneが、来年早々からはサンフランシスコでBay Area Projectが動き出す予定ですが、そこに新たに加わるのがシカゴベースのChicago News Cooperative(CNC)です。

非営利報道機関PBS(Public Broadcasting Service)のネットワーク局であるWTTWマッカーサー財団などの支援を受けることが決まっている上、最初から収入になる仕事も決まっています。来月から発行ののニューヨークタイムズ・シカゴ版に金曜と日曜の2日間、各2ページを担当しシカゴ情報を提供するのです。最初のページは来月20日の金曜日と目されています。また記者たちはWTTWテレビにも出演することになっています。さらにラジオ局とも提携を目指して話し合い中で、来年早々からは独自の有料サイトも計画していて、まあ、いろんなところから収入を得る算段のようです。

最初は10人余りの専属スタッフとフリーランサーで動き出し、徐々に拡大するようですが、最初から結構、計画が練られているのは関係者がプロだからでしょう。編集主幹はJames O’Shea(66)。シカゴトリビューンの編集局長からロサンゼルスタイムズの編集主幹となりましたが、親会社トリビューン本社の編集予算削減命令を拒否してクビになった人物とか。シカゴトリビューンの前編集局長がレギュラーコラムニストとして参加し、トリビューンの前編集主幹がアドバイザリーボードの議長になる、といった具合です。

で、おもしろいのが、このアドバイザリーボードのメンバーにNewton Minowの名前があることです。メディア史に関心のある方は大概ご存知と思いますが、あの「テレビは一望の荒野」という歴史に残るフレーズを発した元FCC(連邦通信委員会)委員長です。1961年、ケネディ大統領に指名された彼は当時、弱冠34歳でした。彼はテレビが低俗に流れることに強い懸念と警告を発したのです。それから48年。新聞社が体力を失い、記者の削減に次ぐ削減でジャーナリズムの質の低下とその未来が危ぶまれる時に、ジャーナリズムの新たな可能性を探るNPO報道機関に関わるというのも何かの因縁でしょうか。