先週末以来、あのArianna Huffington女史率いる新興ニュースメディアHuffingtonPost(Huffpo)が、ついに新聞社ニュースサイトの王者New York Times(NYT)を追い抜いたと大騒ぎです。これは業界標準とされるトラフィック調査サイトcomScoreによる月間ユニークビジター(UV)数の5月の数字が、NYT3千360万人に対し、Huffpoが3千560万人と逆転していることが明らかになったからです。(なお、このデータは一般に無料公開はされていませんので数字は孫引きです。同じトラフィック計測サイトのCompeteだと4月に逆転していたと見ています。ただ数字はcomScoreと大分違います。ネットの視聴率調査は難しいってことでしょうか)

NYTは3月末に有料化導入に踏み切りました。NYTはトラフィックを減らさないような様々な手を打ちましたが、多少の減少は織り込み済みでしょう。一方、HuffpoはAOLとの統合を3月からスタートさせていて、AOLを経由したアクセスが急増しているとのことです。3月のUV数の差は300万程度でしたから、まあ、想定外というほどのことでもないかも知れません。

が、しかし、いろいろな雑音、異論が出てきました。一つは「AOLのトラフィックをHuffpoに回し、嵩上げしてる」という見方や、「単純なUV数でなくユーザーの質を見るべきだ」というものです。それに加えて、合併に伴うAOLとHuffpoの企業文化の違いや相克を指摘するものも相次いでいるようです。

Business Insiderに寄せられた匿名のメールによると、「AOLとHuffpoの合計UV数は合併以来、減り続けている。Huffpoのトラフィックは増えているが、それはAOLからの転送によるもの」と告発しています。これを受けて、FoebesサイトのコラムニストJeff Vercoviciは、comScoreによると5月の2つのサイト合計のUV数は1月のトータルを下回っている事実を確認しています。

ジャーナリスト教育も手がけるPoynterのサイトでは「サイトへのUVの生の数字より考慮すべきはRoyalityだ」とし、NYTのビジターには月30回以上訪問するaddict(熱狂的支持者)がUVの15%もいて、それがトラフィックの76%に達するのに対し、Huffpoのaddictは1%で、トラフィックは28%とするQuantcastの数字を挙げ、「ニュースの生態系での役割が違うので、両者間で勝った負けたというのは意味が無い」という見方を提示しています。

また、先の匿名メールを扱った記事は「AOL-Huffpoの合併が炎に包まれることになる12の理由」と題し、ほぼそのまま載せているようですが、内容は明らかにAOL関係者の手になるものと思われ、Huffington女史のことをAOLの編集者は「デジタル時代の”プラダを着た悪魔”」と呼んでいるなど、Huffpo関係者のことを徹底的にこきおろし、社内融和がうまく行っていないことを露呈しています。

同様にニューヨークのメディア・ゴシップ情報サイトGawkerでも「HuffingtonPostとAOLのCivil War(内戦)」と題する記事で、「Huffpoのチームは卑劣な派閥を作っている」「HuffpoのメンバーがAOLのオフィスに移って来て1週間もしないうちに便所にワイセツな落書きをした」「カルチャーのミスマッチが起きている」などとし、先行き不安を煽っています。

こうした動き、はたして出る杭は打たれるのか、それとも、壮大な失敗に終わった、かってのAOLとタイム・ワーナー合併の二の舞コースを暗示しているのか。目が離せません。