9万件のアフガン軍事行動関連文書、25万件の米外交文書の暴露などで世界中に知られるようになった、ウィキリークスの代表、ジュリアン・アサンジ(Julian Assange)氏。6月19日にロンドンのエクアドル大使館に逃げ込んで約2か月後のさる16日に政治亡命が認められましたが、その後、どうなったかについて、日本のメディアは殆ど報じていません。

しかし、地元の英国では様々なニュースが連日のように報じられているようです。で、明らかなことは、エクアドル政府が亡命を認めても、彼は大使館を一歩も出られないということ。スウェーデンでのレイプ容疑で同国から「尋問を行う」という名目で身柄引渡しを求められ、英国の裁判所が認めたあと、アサンジ氏が支持者の住まいから出ないという保釈の条件を破ったので、一種の治外法権である大使館を出たら、直ちに逮捕されるという状況なのです。大使館の周りはこんな風らしい。

アサンジ氏は「レイプは事実無根」と主張しているので、潔くスウェーデンで尋問を受ければいい、という見方もあるかも知れませんが、事態はそんなに単純じゃない。以前、「アサンジ氏はハニートラップに嵌った!?」というエントリーでも紹介しましたが、膨大な機密文書を暴露されて怒り心頭の米国が、身柄を確保したがっているのは明らかなので、スウェーデンには行けないのです。詳しくは知りませんが、米国とスウェーデンには容易に身柄引渡しが行える合意があるとのことです。

21日の英・ガーディアン紙によると、スウェーデン当局の身柄引渡し要求の決定について、当のスウェーデン・ストックホルムの検察官が「不合理、不公正、不釣り合いなものだった」と述べているメモがネット上に上がっていると伝えています。

で、米国に身柄を移されたらどうなるか。ガーディアンによると、すでに1年以上前にバージニアの大陪審は、アサンジ氏をスパイ罪で裁く準備をしているそうですし、連邦政府司法省も秘密裡に起訴状を作ったとされ、そのことは、オーストラリアの外交官が「アサンジ氏は前例のない米政府の犯罪捜査の対象になっている」という文書を書いた、ということで裏付けられているような状況なので、裁判にかけられ、何十年かの監獄生活が待っているだろうと書いています。

にっちもさっちも行かないような状況の中、21日のニューヨーク・タイムズのオピニオンのページに、社会派の映画監督で知られるマイケル・ムーア(ボウリング・フォー・コロンバインなど)、オリバー・ストーン(JFKなど)両氏連名の寄稿文が掲載されました。

両氏は、言論の自由の見地からアサンジ氏を擁護し、亡命を認めたエクアドル政府を支持する立場を表明した上で、こう、最後に主張しています。

「もし、アサンジ氏が米国に引き渡されたら悪しき前例になる。アサンジ氏は、米国人でもなければ、どんな行為も米国内で行なっていない。それでも、米国がジャーナリストを訴追出来るなら、ロシアや中国も同じ論理で出来ることになる。地球上のどこにいようと、彼らの国内法を犯したといって引渡し要求が出来るようになってしまう」

エクアドル政府は、スウェーデンに対しては、アサンジ氏を米国に引き渡さないことの誓約を求め、英国には、スウェーデンでの法的手続きが終わったら、米国以外の第三国に出ることに文句を付けないことを求めているとのことですが、両国とも拒否しているとか。一体、いつまで、アサンジ氏の雪隠詰め状態は続くのでしょうか。

そんな、状況を笑い飛ばそうとAtlantic Wireが「アサンジ脱出の最もアホらしいシナリオ」という記事を21日付けで載せていますのでご紹介。詳しくは本文を読んで笑って下さい。一応、題目だけ挙げておくと。(1)大使館から外部の車までワイアを張って滑車で滑り降りる(2)車のトランクに隠れて出る(3)100人ほど盛装した人間を送り込み、一緒に紛れて外に出るーーしかし、成功したって空港で捕まっちゃいますが・・・・。それとは別にこんなお笑い脱出動画もありました。関心が高いんですね。