NYタイムズの第4四半期の決算が7日に公表され、広告収入の減少傾向は止まらないものの、デジタル購読契約が第3四半期から13%も伸びて66万8千件に達したことで、プリントと合わせた販売収入は16.1%も伸びたそうです。いよいよデジタル頼みになってきました。

BBC会長から、昨年11月にNYタイムズカンパニーCEOに転じたマーク・トンプソン(Mark Thompson)氏にとっては上々のデビューと言えそうです。

そして、経費削減の観点から、編集局幹部クラスの早期退職を進めたばかりのトンプソン氏の次のターゲットは、どうやら若者を対象にした有料ニュース配信のようです。題して<NYT Junior> 狙いはもちろん、紙の新聞の販売収入を補うデジタル販売収入の増大です。

これは、四半期決算の電話会見でnytimes.comのゼネラルマネジャーが「entry level productを考えている」と発言したことで公になったものです。その詳細は明らかにされなかったのですが、ForbesのJeff Bercovici記者が早速、NYTにメールで聞いてくれています。

それに対するNTTスポークスウーマンの返事は「有料デジタル配信を始めて2年近く経つので、新たな内容をどうパッケージしていくか検討中。(質問のNYT Juniorは)first user向けにデザインしようとするものだが、testing & surveyingの段階なのでこれ以上は申し上げられない」でした。

Bercovici記者はこの、<first user>というフレーズで、当初はSport Illustrated KidsやTimeの学校向け教材として編集しているTime for kidsなどを思い浮かべ、子供向けと思ったようです。しかし、その後の取材で、NYT関係者の話として「very young readerではなく、大学生や20歳そこそこの若者に、コンテンツを絞って安く提供するバージョン」ということが分かったと追記で明らかにしました。

単にニュースの数を減らして配信ということではなく、若者に関心の高い記事を見やすくしたり、本体のNYT Digitalに無いような若者向けの特集なども検討されているのでしょう。

トンプソンCEOは電話会見の冒頭、「私がこの仕事を引き受けたのは、永年に亘るNYTの熱心な読者だったからではなく、このデジタル時代において、生き延びられないどころか、ますます繁栄する、世界で一握りのニュースブランドだからである」と述べたそうです。

「デジタル時代に繁栄する」が意味深です。トンプソン氏は昨年8月のこのブログでも紹介しましたが、世界的にも注目されるBBCのデジタル化と大幅な人員削減策定で知られ、その実績を買ったNYTのザルツバーカー会長がNYTにスカウトした人物です。

で、そのザルツバーガー氏は、2010年9月のロンドンでのメディアサミットで「2015年にNYTは紙の新聞の印刷を終えるか?」と尋ねられ、それを直接否定せず、「時期を具体的には想定していないが」と前置きして「We will stop printing the New York Times sometime in the near future」と答えた人物です。

この流れからすれば、トップ2人の主導によるNYTのデジタル傾斜はますます加速し、<sometimes in the near future>に向け、今後も様々なアイディアが次々と出てくることでしょう。日本の景色とはだいぶ違ってきそうです。