銀髪、長身の色男トリックスター、ジュリアン・アサンジ氏が、ロンドンのエクアドル大使館に逃げ込み亡命を認められたものの雪隠詰めになってから8か月になろうとしていますが、依然として膠着状態が続いています。大使館からの脱出防止のために昼夜配置されている警官の費用は、ロンドン警視庁の推計では290万ポンド(4億2千万円)に達したとか。

そうした中、物々しい警備をかき分けて、エクアドル大使館に突撃したシドニー大学ジョン・キーン(John Keane)教授(政治学)にアサンジ氏が久しぶりに吠えています。その内容を教授自身が執筆した長文のインタビュー記事が、オーストラリアの独立系ニュースサイトConversaitionに掲載されました。(ちなみにConversationの編集陣は、このページにありますが、ほぼ全員がマスコミ出身のプロのようで、しっかりしたサイトです)

記事の見出しは<Lunch and Dinner with Julian Assange,in Prison>とありますが、実際はランチは出たが、時間が延びてディナーの時間を過ぎてもビスケットを齧りながら話が続いたというほど、アサンジ氏は熱弁を振るったのです。

それは今年9月24日に行われる母国オーストラリアの上院議員選挙への出馬問題です。自身がビクトリア州から出馬するとし、彼の支持者が、すでに同州の選挙人名簿に彼を登録したそうです。

出馬の届け出は8月22日までにする必要があるようですが、それまでに帰国できる見通しは全く不透明。そんな状態で選挙に臨めるのでしょうか。この点については、「オーストラリアを離れて3年以内で、6年以内に戻る意思があるなら投票登録と選挙運動が出来る」そうです。アサンジ氏は「2010年6月にオーストラリアにいたのでOKだ」という解釈です。

で、本人の弁では、自分1人が立候補するのではなく、新党を作っていくつかの州でも候補を立てたいとのこと。新党を立ち上げるには500人の党費を支払うメンバーが求められますが、その勧誘にも自信を示したとか。選挙公約のマニフェストもすでにあるといいます。その他、もろもろの障害についても、独自の解釈で乗り越えられると自信たっぷりです。

どうしてこうまで自信タップリでいられるのか。「女性に強い!」という自負があるのかもしれませんが、同時に、オーストラリア有数という調査会社UMRの世論調査結果に気を強くしているのでしょう。

ちょっと古いのですが、昨年4月末に実施された調査があります。アサンジ氏への評価と上院選に出たら投票するかどうかを聞いたものです。(詳しい内容のPDFはこちら

それによると、アサンジ氏を肯定的に捉え支持する(positive評価)は全体の43%で、negative評価の27%を大きく上回りました。年齢区分でもバラつきはあまりありません。男性のほうが支持率が高く47%ですが、女性でも39%に達し、negativeの25%を大きく上回っています。

また、上院選に出馬したアサンジ氏に投票するかどうかについては、「恐らく投票する(likely)」が25%でした。not likelyは69%でしたが、オーストラリアの上院選は一つの州から6人で、3年毎に3人が改選されるので次回上院選の定数は3。4人に1人が確実に投票してくれれば当選率はかなり高いと言えるかもしれません。

さて、なぜ時間も忘れるほどに上院選への意欲を語ったのでしょうか。それは、連邦国会議員になれば、いまだにスパイ容疑で捜査している米国も、オーストラリアとの外交的な面倒を回避するために、捜査を断念するのではないかという期待があるからのようです。

もちろん、その前に、スウェーデン当局の強姦容疑事案もあいまいになり、そうなれば、スウェーデンへの身柄送還の決定を出した英国もその根拠を失って警備を解く(お巡りさんへの無駄な支出もなくなる)・・・・アサンジ氏にとってはメデタシメデタシの展開を期待してるのでしょう。

ただし、あらゆる事案を賭けの対象にしているアイルランドのブックメーカーPaddy Powerには、アサンジ氏が上院議員に当選するかどうかが賭けになっていて、「no(なれない)」の賭け率は「1/6」とあります。よくわからないの で、計算機の欄に「100」を賭ける、としましたら、配当は「116.67」と出ました。全然旨味なし。逆に「yes(なれる)」の配当は、掛け金100に 対して「450」。”穴馬券”ですね。同じ英連邦といえども、少なくともアイルランドの人々は、アサンジ氏の目論見に懐疑的なようです。

また、教授の記事を元にまとめ、同時にConversationに掲載された女性記者の記事の 見出しは「ウィキリークス新党は多数の女性の支持を呼び込むだろう、とアサンジ(”Wikileaks party will attract the support of many women”:Assange)」です。亡命事件の発端となったスウェーデンでの強姦容疑、レディ・ガガの大使館訪問、保釈金を支払った金持ちの女性支持 者の最近の離反など、何かと女性の話題の多いアサンジ氏にからかいともとれる書きっぷりです。女性の目も存外厳しいのかも。