という見出しにギョッとして、思わずJIMROMENESKO.COMの記事を読み出しました。米国の新聞はとうとう社員の健康保険の負担さえ出来ないところへ追い込まれたのか・・・・と。

記事によると、米中西部オレゴン州ベンド市(人口8万人弱)で発行されているThe Bulletinはじめ同州で6紙、カリフォルニア州で2紙を擁するWestern Communications社の発行人が25日に、「あらゆることを検討したが、来年1月1日で健康保険のベネフィットを打ち切る」と、突然の宣告をしたとのことです。

Western社は8紙を擁するとはいえ、2.8万部のThe Bulletinが旗艦紙で、歴史は1870年と古いものの、部数わずか2715部のThe Baker City Heraldもあるという小さな新聞だけのチェーンで健康保険加入者は280人だったそうです。その全員が、年末まで1月余りしかないのに、いきなり打ち切りって・・・・一体、どうするんでしょうか。

JIMROMENESESKO.COMに掲載された発行人から従業員宛のメールによると、同社は「self-insured(自家保険)の制度で、社員とその家族の全ての医療費を会社が払っていた」とし、社員が実際に払った分までをカバーしていたようです。随分、家族的な会社だったのですね。

それが健康保険中止の大ナタを振るったのは、メールにある「低迷する経済」=広告収入の減少の影響とともに、先日まで連邦議会大もめの原因となった例のオバマケア=医療保険改革が来年1月からスタートすることがきっかけになったのです。

当方は、オバマケアの詳細は全く分からないのですが、発行人の説明では、会社が自前の保険プランを持っていると、個人が加入した保険に連邦政府からの補助金が受けられないとのことです。で、この際、自前保険の重荷で会社が立ち行かなくなる前に、社員の皆さん、国の補助のある保険に加入して下さい、という都合のいい理屈を述べているわけです。

米国の医療費が高いことはよく話題になりますが、そのための健康保険の負担も企業にとって年々重くなっているようです。Kaiser Family Foundation/Health Research & Educational Trustが毎年行っている医療保険支出調査によると、一家族あたりの企業の支出は11,786ドルに達しています。300人規模の会社が保険補助をやめれば、一気に3億円以上が浮く計算です。Western社の場合、社員が病院で払った分まで面倒見てたそうですから、浮く額はそれよりはるかに大きいでしょう。

でも、いきなり会社の保険を切られた社員は、どうやって政府が援助する健康保険に加入するのでしょうか。初めて知ったのですが、日本のように保険のオバさんの説明を受けて入るのではありません。すべてインターネット上に各州政府が設けたExchangeというサイトにアクセスして、加入するようです。

オレゴンの場合は「Cover Oregon」というExchangeがあります。そこに、様々なプランがあるとのことでしたので私もアクセスして見ました。「50歳、50歳、15歳、10歳」という家族構成で、全員がノンスモーカー、年収5万ドル、ベンド市在住って入力すると51のプランが出ました。

一番安いのが月126ドル、高いのは月800ドル。いろいろ違いがありますが、一例は「deductible」の額です。これも米国の保険用語に不案内なので不正確かも知れませんが、多分「免責額」。つまり、一定の金額以下だと保険会社は支払わないけど、それを超えたら支払うというものと判断しますが、その額が安いほうだと家族総計で10,500ドル、一番高いプランだと3,000ドルとありました。

その他、細かいこともいろいろ比べられます。おそらく、Western社の社員は、きっと大慌てでサイフと健康状態を勘案しながらプランの選択を検討中なことでしょう。それに比べると、公平な日本の健康保険、安くはないけど面倒がなくてありがたいと実感します。そこで、ふと思いました。米国では、インターネットにアクセス出来ない人、不案内な人はどうするんだろう、と。