米国の放送・通信行政を取り仕切る連邦通信委員会(FCC)が、今年2月に、テレビ番組の殆どに付いているクローズド・キャプション(CC:表示・非表示の切り替えの出来る字幕)の”品質向上”を求める命令を出し、今月から発効したようです。(米総合法律事務所の解説はこちら

この命令発効を受けて、米公共放送PBSのサイトに、A Push for Closed Captioning in the Digital Age(デジタル時代におけるクローズド・キャプションへ一押し)という記事が載っていて、興味深く読みました。

ABCやCBSなど米国の大手ネットワーク局のサイトを覗けば分かるのですが、ドラマなどは殆どがネットでも見られるようになっています。そして、HuluやNetflixといった動画配信サービスの利用も活発なようです。テレビで見られる殆どがネットでも視聴可能になりつつあります。

そこで、このPBSの記事では、聴覚障害者や難聴の人も、いまや一般の人と同様、それ以上にパソコンやモバイル機器を活用する時代なのだし、テレビで流れるビデオがオンラインで配信されるのも当たり前なのだから、ネット配信のビデオなどにもCCが付いて当然だ、と主張しているのです。なにせ、今回の”品質向上”命令も、聴覚障害者がより快適にビデオなどを楽しめるために出されたのだからーーーと。

しかし、問題はそう簡単には進まないかもしれません。

劇場で見る映画の字幕なら、フィルムに文字が焼き付いていますが、テレビの場合は別の電波で流したものを映像と一緒に映し出しています。技術的に疎いので、確かなことは言えませんが、ネットで字幕を付けるのは全く異なる手間をかけないとCCは付かないようです。放送と通信の違いですから。

手間がかかるということはカネもかかるということです。それが有料動画配信サービスの価格に影響するかもしれません。この記事ではクラウドソーシングで字幕を付けるというViki.comを紹介していますが、大規模に行われた場合、著作権との兼ね合いはどうなるのでしょう。

また、ネットに流れる動画にCCは当たり前、という流れになったとき、テレビと直接関係はなくとも、営利で運営されているYouTubeなどの大規模動画サイトにアップされる動画への影響がいずれ出てくるかもしれません。

そんなこんなを1本の記事で考えさせられました。なにせPBSは、日本のNHKのような存在なので、なんらかの意図があるのかも、などと思いつつ。実現したら、各方面に大変な影響が出そうですから。