米国のスター新聞記者が新興メディアに続々”脱出”、というニュースが続く中、ニューヨーク・タイムズのデジタル販売部門を統括していた幹部も新興メディアTexas Tribuneの発行人兼COOとして移籍していました。

その本人、Tim Griggs氏のインタビューがDigiDayに載っていて、「新聞社の業務系も新興メディアを目指す時代なのか」と興味深く読みましたが、そこで語られているビジョンに惹かれて実に久しぶりにTribuneのサイトをのぞきに行きました。

実は、このオンライン新聞のことはスタート直後にこのブログでも紹介しました。、今のバイラルメディアブームのように、2009年当時はNPO報道機関ブームで、Tribuneもその一つでした。紹介はしたものの、Tribuneはテキサス州の政治と公共政策に限って深堀りするというのが基本なので、テキサスに縁のない当方としては、敬遠していたわけです。

前置きが長くなりましたが、今回アクセスして、目についたGoverment Employee Salariesのトップページを見て仰天しました。ページ中段にある実名入りのTop25のリストには、100万ドル、日本円にして1億円以上のサラリーを貰ってる公務員が12人もいて、25位でも78万ドル。しかもトップは500万ドル超!日本じゃ考えられない”役人天国”に見えます。

これは、一過性の表ではなく、発足当初からTribuneが目玉コンテンツとして、拡充し更新し続けているものです。2009年のスタート時には貧弱な内容だった記憶がありますが、いまや67万4千人の公務員についてのデータを整理して、全州民、世界に公開しているのです。

このリストで、なによりビックリは、5,266,667ドルを得たMack Brown氏が、「州立」大学であるテキサス大オースチン校の「ヘッドコーチ」とあることです。で、所属のオースチン校のリストに飛ぶと、上位4人までが「ヘッドコーチ」の肩書で、3人が100万ドル以上です。

そこで、名前を手がかりに検索すると、Brown氏は昨年、引退しましたがアメフトの監督でした。2位は男子バスケットボール、3位は女子バスケットボールのヘッドコーチだと分かりました。

しかし、500万ドルとは破格。実力が全米トップならまだしも、昨年のランキングでは全国30位に過ぎません。同じ州立のテキサスA&M大のヘッドコーチ、Michael Sherman氏のサラリーが10分の1の50万ドルで、チームのランキングは25位なんですが。

さて、先の公務員全体のトップ25のリストを見返すと、100万ドル超の12人のうち5人がヘッドコーチで、残り7人が教授や学長、議長などすべて大学関係者で占められているのに気づきます。オースチン校の上位30人のリストでは、30位の教育学部長ですら30万9千ドルを得ていました。A&M大の30位も31万5千ドル。

現州知事のRick Perry氏の年俸は15万ドルなんだか、大学は特別扱いな感じです。ヘッドコーチを破格のサラリーで雇えるのも、きっと自主財源があるからなのでは?と、オースチン校の年次会計報告書を開いて見ました。

この手の書類にはからきしなんですが、こういう収入項目がありました。「Sales and Service of Educational Activities」で2億2873万ドル、229億円。自前の巨大スタジアムを持ち、テレビ中継されるカレッジフットボール、あるはカレッジバスケットという人気スポーツからの収入ということかも知れません。(追記:ちょっと古いデータですが、5年前のカレッジフットボールのヘッドコーチのサラリー一覧です。5年前でも100万ドル以上がたくさんいます)

確認はできませんが、もしこれだけの自主財源があれば、ヘッドコーチに大盤振る舞いしたり、教授連に相当のサラリーも払えるということになります。

このように部外者の当方ですら興味を持って、いろいろと考えたり、調べたりすることにつながるTribuneのデータベース、さすがです。こういう過激なことが出来るのもデジタルを活用した新興メディアならではでしょう。

そして、公務員全員のサラリーを暴いた彼らは、幹部の収入もNPOとして免税を申請する書類の中で公開しています。それがこれです。

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新興メディアとはいえ、大手メディア並か、それ以上かもしれません。米国の新聞社のサラリーは日本と比べて、安めと言われていますから。ですから、冒頭に紹介したTim Griggs氏、発行人兼COOの肩書ですから、おそらくはNYタイムス時代より、相当にサラリーはアップするんじゃないでしょうか。”脱出”が続くわけです。