新聞だけじゃなくてテレビも大変な時代にあることを実感します。いや、ようやく見逃し番組のネット配信を民放が一緒に始めようというのが話題になるくらい平和過ぎる日本じゃなくて米国のことですが。

10月の当ブログ記事「テレビ番組はネットで見る時代の幕開け」で紹介したように、米国4大テレビネットワーク局の一つCBSが同月16日から、リアルタイムの番組視聴だけでなく、見逃し番組や、6,500本に及ぶ番組アーカイブにアクセス自由という<CBS All Access>という有料ネット配信を月6ドルで始めました。

それは、テレビ局にとって、文字通り<幕開け>に過ぎなかったようで、今月1日からは、ライバルABCが、看板ニュース番組<World News Tonight>(東部時間18時30分〜19時)のソーシャルメディアバージョンをFacebookで開始しました。アンカーはWorld News TonightのDavid Muir氏で変わりませんが、ニュースフィードを追うのに忙しいFacebookユーザー向けに1分余りに”濃縮”してあるところがミソです。

その名称は「Facecast」というようですが、今現在視聴している番組内容は、デトロイトの大停電(20秒)、イスラム国リーダーの妻が逮捕されたらしい(14秒)、カリフォルニアで恵みの大雨(13秒)と続き、最後はロックスターたちがエイズ撲滅運動に協力しているという若者向けの話題(30秒余り)で、トータル1分20秒の構成。

これを紹介しているブルームバーグの記事によると、アンカーのMuir氏は「The nightly news is not a one-way street anymore」と電話インタビューに答えたそうです。ニュース番組は、もう、一方通行じゃない、と。

で、2日にfacebookにアップロードされたFacecastの数字を見ると、日本時間3日1時過ぎで、視聴数は7万弱、イイネが2000弱、シェアは200余り、コメントは100余り。この数字をどう見るかは分かりませんが、始まったばかりにしては、まあまあの視聴数と双方向性を実現していると言えるかも知れません。

このFacebookバージョンでテレビニュースに関心を持ってもらい、テレビを見るか、テレビ放映分の全てを整理してあるウェブサイトで見るように誘導するのが狙いなのでしょうか?

この”濃縮”ニュース配信とは全く逆に、ライブで最新ニュースを一日中、タップリ配信するというサービスも登場していました。先に紹介したCBS All Accessを開始したライバル局CBSが11月6日に始めたもので、interactive news networkを謳う「CBSN」です。

早速、そのCBSNにアクセスしてみました。これはCBSNewsのウェブサイトだけでなく、同局のモバイルサイトのほか、Amazon FireやROKUなどのコネクテッドTV、スマホなどでも視聴できる24時間のライブニュース放送です。

実際には朝の9時から真夜中までの15時間がライブで、一回の放送時間は60分。CBS Evening Newsの日曜版アンカーのJeff Glor氏など、同局のベテランジャーナリスト計5人が交代でアンカーを務めているようです。

これが、<interactive>を謳うのは、ライブ放送中に、画面左側にズラリと並んだニュースの見出し一覧から、好きなものを選んで見ることもシームレスに出来るからです。つまりライブ放送でありながらDVR的な機能も備えているのです。そして、FacebookやTwitterにもニュースをシェア出来るようです。

ニュース内容にしても、CBSNewsからだけでなく、系列局やCNet、CBSSPORT.com、Entertainment Tonightなどからも集めるとか。なんだかニュース専門局の老舗CNNやFox Newsも、うかうかしていられないような構成です。

また、先日紹介したように、通信社のロイターも、ユーザーの時間的余裕やアクセス場所に応じて自在にニュース番組を組み立てて、個々人向けに配信する「ロイターTV」を来年早々から始めるという話もあります。

「右へならえ」や「みんなで一緒に」でなく、いろんなアイディアが登場する米国ニュース競争。平和な日本で、こういう競争が起きるのはだいぶ先のことでしょうか。