こういう数字を知ると、なんだか切なくなって、紹介するのにも躊躇がありますが、米国の新聞社が置かれた厳しい現実を示すものですから、記録しておきます。

一口で言うと、米国の新聞は、大手紙でも所有権がしばしば変わりますが、その値段=市場価値が、この20年ほどで1割以下になった、ということです。

これは、Pew Research Centerの研究員が、売買金額を2014年の物価水準に調整して、比較して数字を出しました。(例えば、最初のグラフ:ボストン・グローブのケースで言うと、ニューヨーク・タイムズが1993年に買収した時の金額は、実際は11億ドルですが、このグラフではインフレ率を勘案して18億ドルとなっています)

グラフ画面が小さくて数字などが分かりにくいと思いますので、メモでまとめます。

*まず、ボストン・グローブ:ニューヨーク・タイムズが1993年に18億ドルで買い、さらに1999年にWorcester Telegram & Gazette 紙を4億1930万ドルで買収しますが、2013年、この2紙をボストンレッドソックスのオーナー、John Henry氏に7120万ドルで売却しました。目減り率は96%。

*フィラデルフィア・インクワイアラーとフィラデルフィア・デイリー・ニューズ:2006年、フィラデルフィア・メディアホールディングスが6億490万ドルで買収、しかし2009年に破産し、オークションで1億5100万ドルで落札された後、2012年、Interstate General Mediaが5670万ドルで取得。目減り率91%。

*シカゴ・サン・タイムズ:1994年、Hollinger International社が2億8440万ドルで取得、2009年、破産後の同紙を2760万ドルで投資グループが購入、2011年には別のグループが2110万ドルで取得。目減り率93%。

*ミネアポリス・スター・トリビューン:1997年、マクラッチーが17億ドルで購入、2006年、投資関連会社に6億2250万ドルで売却。2009年破産後、大株主が1億2250万ドルで取得。目減り率93%。

新聞買収と言えば、アマゾンのベゾス氏によるワシントン・ポストの買収が記憶に新しいですが、あの名門紙でさえ2億5000万ドルでした。ここに挙げられた新聞の一昔前の値段と比較すると割安だったことが分かります。10年後はどうか分かりませんが。

また、ニューヨークの老舗タブロイド紙ニューヨーク・デイリー・ニューズはこの春先に売りに出ましたが、買い手が現れたという話は全くありません。

その一方で、米国唯一の全国紙USA Todayの編集主幹David Callaway氏が、先週、インターネット関連のイベントにパネラーとして出席し、質問に答える形で「早ければ、5,6年のうちに、紙の新聞を止めるかも」と発言しました。

これに対して、USA Todayの創業メンバーの一人で、広告担当の副社長でもあったJim Gath氏(今はアリゾナでNPO組織の馬の牧場を経営)が、「ガッツのない馬鹿発言はやめてくれ」とFacebookで噛み付く騒ぎになっています。

これもまた、紙の新聞の退潮を象徴する出来事なのでしょう。紙の新聞好きの一人としては、日本では、その日がずっと先であることを期待していますが・・・・。