ジャーナリズムやインターネット関連などで興味深いトレンドをレポートしてくれる米国のシンクタンクPew Research Centerが今年行った100件以上の調査や独自分析の中から、年末恒例の今年の重大発見( striking findings from 2015)を選んで発表しました。

今年は去年より一つ多い15項目です。いずれも、いまのアメリカ人の意識や社会情勢に関わるもので、米国の視点が軸になっていますが、それは日本や世界に通じる点も少なくない興味深い内容なのでかいつまんで紹介します。

なお、Pew Research Centerは、石油で成功したJoseph Newton Pew夫妻の子孫が1948年に設立、数々のプロジェクトを行っているPew Charitable Trustが、前身を含め1996年から支援している事業で、歴史は比較的浅いのですが、スタッフ130人以上という大型調査機関です。米国のシンクタンクでよくあるような党派性はありません。では15大ニュースを調査グラフとともに見て行きます。

1、米連邦政府を常に、または大概の時、「信頼できる」という米国人はたった19%にすぎない。これは過去50年間のうちの最低レベルである。国民みんなの利益のために運営されている、と見る人の低さと一致する。

2、米国では中流世帯の縮小が続いている。金持ちの増え方が著しい。

3、メキシコからの移民が出国したメキシコ移民を下回った。1940年代から初めてのことである。経済的に米国の魅力が失われたことと国境警備の厳重化の影響か。

4、黒人に白人と同等の権利を与え続ける必要があると答えたアメリカ人は昨年の46%から59%に急増した。人種差別的な事件が全米各地で頻発したことが背景に。

5、インターネットとともに育ったミレニアルズ世代(18−34歳)がベビーブーマー世代を追い越し、米国勤労者層の最大勢力となった。

6、政治ニュースをベビーブーマーはローカルTVで入手するのに対し、ミレニアルズ世代の61%はFacebookで知ると答えた。ニュースの世界でソーシャルネットワークが不可欠なものになったという変化が起きている。

7、アメリカの10代にとってソーシャルネットはFacebookやInstagramに限らず多様化している。71%が2つ以上を利用している。

8、イスラム教徒の多い国でもISISには圧倒的に否定的だ。

9、2050年に向かって、イスラム教は他のどの宗教よりも増え続け、信者総数でも世界人口に占める割合でもキリスト教に迫る。

10、米国ではクリスチャンの数が減少しており、その一方で無宗教の人が4分の1近くまで増えている。

11、1965年の移民法改正以来の50年間で5,900万人が外国から移住してきた。外国生まれのアメリカ人は1965年には5%だったがいまや14%で、50年後は18%になりそうだ。移民の51%はラテンアメリカで、4分の1はアジアから。

12、混血のアメリカ人が増えており、大人の6.9%を占める。その増え方は人口のそれより3倍速いペースだ。混血の半分以上の人は人種的なバックグラウンドには誇りを持っているが、55%は中傷や冗談の対象になっていると答えている。

13、科学関連の問題では科学者と一般市民の感覚はとても乖離する。たとえば遺伝子組み換え食品の安全性では、米国科学振興協会に所属する科学者の88%が安全性を認めるが、市民は37%に止まり、ギャップは51ポイントに達する。気候変動が人間の営みによるとする科学者は87%だが、市民の認識は50%という具合。

14、気候変動が深刻な問題だと認識している世界各国の中央値は54%で、ラテンアメリカやアフリカでは関心が高くて中央値を上回っているが米国は下回り、とりわけ中国の認識の低さが目立つ。ヨーロッパは深刻なことや人間に害を与えているという認識では中央値を上回るが、自分に被害が及ぶだろうとはあまり思っていない。

15、連邦議会の上院記者クラブ(Senate press gallery)に登録されている記者のうち、新興デジタルメディアや専門紙といったニッチな報道機関に所属する記者の数が日刊紙の記者を上回った。

以上ですが、元記事には、それぞれの項目についてのリンクがありますので、興味を持たれた項目についてはそのリンクを辿ってお調べください。