アマゾンのベゾス氏率いるワシントンポストがネットのトラフィック数でニューヨークタイムズを10月、11月と2ヶ月連続で上回ったことが先日来、話題になっていました。

しかし、共に一流紙だけに、トラフィック数だけで「勝った」「負けた」と論じられるわけでもないでしょう。そのあたりを踏まえて平和博さんが「ワシントン・ポストとニューヨーク・タイムズ、ネットで勝っているのはどちらか?」と題して幅広く論じていました。

大変、目配りの効いた記事で、とても参考になりましたが、いろんな問題を5項目で論じるのが特徴のDIGIDAYも「ライバル関係にある両者を見る5つの方法」という記事を載せていました。平さんの分析と若干、かぶるところもありますが、「まだまだタイムズ優位」の見方を堂々と打ち出しているのがユニークなので記録しておきます。

一応、トラフィック競争の数字をおさらいしておくと、11月のユニークビジターは、タイムズが6,880万人だったのに対し、ポストは7,160万人でした。

さて、5つの方法の一つ目は<Social reach>。ここではFacebookのメインページのファン数を比べ、タイムズ1,030万、ポスト370万。ファンが多いことはより多くの人が記事やビデオを見る可能性が高いということなので「タイムズの勝ち(Advantage)」

2つ目は<Demographics>。ポストのユニークビジター数は今年65%も伸びました。数が増えればオーディエンスの”質”が落ちかねませんが、実際には、タイムズのそれとあまり変わらず、アトラクティブな年代層である25−34歳が中心で、世帯収入も6万ドル以上が多いそうです。また一回のサイト内滞在時間も10月の数字では14.1分とタイムズにほんの少し劣るだけだったので「両者引き分け(Tie)」

次は<Subscriptions>。ポストは有料購読者数を明らかにしていません。もっぱらオーディエンスの数の拡大に注力しており、そのために大幅割引を実施中です。ここでは、課金で先行し、より高い課金を実現し、今年初めに有料契約100万件を超えているので「タイムズの勝ち

4つ目は<Video>。高い広告代金が期待できる数少ないエリアで、視聴数は本数、長さ、宣伝などで変わります。主としてYouTubeで展開するタイムズの本数は昨年8,757本で、Facebookを使うポストの5,413本の1.5倍でした。視聴回数でもポストの1億2100万回の3倍にあたる3億5400万回。表示1000回あたりの広告料金CPMでも、ある広告主によるとタイムズは94ドルでポストの40ドルを上回るので、文句なしに「タイムズの勝ち

最後は<Native advertising>。ここも広告主の需要の高い分野で両者とも力を入れており、ともに好評で、全広告収入の15%に達するほどに貢献しているそう。ポストは23人のスタッフでこれまで73件のネイティブ広告キャンペーンを行いました。タイムズは60人が自社のT Brand Studioに属し、88件を手がけています。ここは「引き分け

Digidayはあえてそれ以上は書いていませんが、これを素直に読めば、タイムズはトラフィックで遅れはとったものの、中身は「完勝」と見ているということでしょう。

それにポストには残念なことが先日、ありました。とても上質なニュースキューレーションサービス「Trove」の運営を停止したのです。その「サヨナラ」画面。

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それを説明する12月9日付けの最後の画面はこれ。

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毎日、選りすぐりのニュースをメールで通知してくれていました。またサイトでは、関心のある項目を登録しておくと、関連する最新記事を表示してくれました。頼りにしていたので、とても残念でした。

なにしろ、これは5年前に、当時はiCurrentと言っていたサービスをポストが買収し、シェイプアップして「Trove(発見、宝庫)」という名称で2011年から始めた無料サービスだからです。私はiCurrent時代からのユーザーだったので、期待を込めてTroveスタート前にブログで取り上げたほどです。これがそれを報じるウォールストリートジャーナルの記事です。

トラフィックでタイムズを凌ぐほどにウェブ運営が好調なポストが、かってライバル・タイムズをして「ニュースジャンキー向けの宝の山」とまで呼ばせたTroveをなぜ停止したかは知りません。ただ、Troveチームは、ソーシャル広告・マーケティングを手がけるSocial Codeという組織に統合されるとのことです。これも、ビジネス優先のベゾス流なのでしょうか。