先週末に、NTT東日本が、「公衆電話ボックスをWi-Fi用に貸し出します」というニュースが報じられました。同社のホームページに「公衆電話ボックスのWi-Fi設備設置場所向けスペース貸し出しについて」と題したプレスリリースがあります。

つまり、電話ボックスを丸々、WiFi用に転用するんじゃないんですね。そのイメージ図がありました。貸し出し先はなぜか自治体のみだそう。

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携帯電話の普及で、公衆電話の需要が激減し、儲からない公衆電話ボックスもどんどん、姿を消しています。しかし、「災害時には強い」ということで、一定程度は残す方針のようですから、少しでもコストを浮かそうとこうした場所貸しスタイルになったのでしょうか。

そこで、思い出したのが、ニューヨーク(NYC)の公衆電話とWi-Fiのことです。

実は、NYCで、市が運営する無料Wi-Fiサービス「LinkNYC」が先月18日に正式スタートしました。その説明の最初に書いてあるのがこれ。<Good-Bye Pay Phone, Hello Link!>

公衆電話(Pay Phone)をWi-Fiサービスをする「ハブ」に置き換えていくというのです。向こう何年かで、マンハッタンだけでなくNYC5地区に7,500のハブを設けるということです。しかも、税金を一銭も使わずに!3番街に登場したアルミニウム製のハブはとてもスタイリッシュです。

この高さ3メートルのハブには色々な機能があります。LinkNYCのページに説明がありました。

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①はWi-Fiのアンテナ②はビルトインされたアンドロイド・タブレットで、利用者は自分の端末を持っていなくてもウェブの閲覧が出来、地図や行き先を見ることが出来ます③無料電話機能です。タブレット画面でIP電話のVonageのアプリを使うか、タブレットの右下にあるボタンとマイクで米国内ならどこへ掛けてもタダ。つまり、公衆電話機能が無料になって残っているわけです。受話器はないので、プライバシーのためなら、イヤフォーンを使うとよい、とあります。

④電話用のボタンの左にある赤ボタンは日本の110番にあたる「911」専用です⑤モバイル機器の充電が出来るUSBポートが二口あります。充電のみの一方向なのは利用者の端末から情報が漏れるのを防ぐためだとか。

そして⑥このステキなハブのデザインは<Antenna>による、と誇らしげ。そのAntennaというデザイン事務所は日本人の宇多川信学(うだがわまさみち)氏という日本人工業デザイナーの事務所です。ニューヨークの地下鉄のデザインでも知られる有名人なのです⑦ハブの両面には55インチの高精細ディスプレーを備えています。

この⑦のディスプレーこそ、ニューヨーカーや外国人旅行者に、Wi-Fiサービスだけでなく、電話、ウェブ閲覧、充電まで全部無料で、税金も使わない秘密です。つまり、ここに広告を常時流しているからです。

そのWi-Fiの性能ですが、実は1月から4つのハブで試行的に始めていて、そのデータによるとダウンロードは150~300Mbps、アップロードは100Mbps程度だったそうです。

今、NYCに行ったらどこで使えるの地図はここにあります。今は3番街沿いだけですが、ことし7月までにNYC5地区に広がり、510台まで増えるそうです。

日本でも、2020年東京オリンピックに向けて、外国人訪問者用の無料Wi-Fiスポットを整備しようという掛け声だけはなんども記事になっていますが、今現在の具体的な動きはどうなっているんでしょうか?それがNTTの老朽公衆電話ボックスのスペース貸しだけじゃあ、ちょっと寂しい。ダイジョーブかトーキョー。五輪委にならったドタバタで税金の無駄な大出費につながらないことを祈ります。