アメリカで人気スポーツの双璧といえば野球とアメリカンフットボール。そのアメフトのシーズンが始まりましたが、ワシントンポストは地盤とするワシントンDCエリアの高校アメフトの試合結果の報道に自社製AIソフトHeliograghを活用するとPRブログで明らかにしました。

Heliograghについては1年余り前の当ブログ「ロボットがパーソナライズ記事を作る時代へ」でご紹介しました。リオオリンピックで競技結果のデータを読み取って短い記事を作り、Twitterやブログ、メッセンジャーなどで発信するのに使われたのです。

それを、今度はアメフトに応用しようという試み。早速、どうなっているのかポストのサイト内を探し回って、Football results and schedulesというページに行き着きました。

そこには先週末の試合結果を一覧するリストがあるのですが、その中で2日、土曜日に行われた試合の中で接戦となったChopticon高vsOxon Hill高戦をクリックして見ました。共にDCのお隣、メリーランド州の高校です。

上に総得点、下にクォーター毎の得点があってシーソーゲームの展開が分かりますが、ここまでなら、新聞のベタ記事というか記録欄にあるようなものに過ぎません。しかし、これに続く内容がHeliograghならではです。

まず<Game Summary>。こんな具合です。「ゲームはアウェーのChopticonが接戦をものにした。まずChopticonが5ヤードのパスによるタッチダウンで先制。すかさず、Oxon Hillはフィールドゴールで追い縋り・・・・」という展開が選手の実名入りで書き込まれています。私のMac画面では7段落26行に及びました。

8段落目に両校の次週対戦予定、最後に「新しいデータが入ればアップデートされる。こはポストのAIシステムHeliograghで作成した」という断り書きがあります。

これだけでは終わりません。その次には得点経過のまとめScoring Summaryがあり、誰がどのようにして得点したかが整理されています。

次はRushing Leaders、つまりランで獲得したヤード数順に双方の選手のベスト5が掲示され、クォーターバックのパス獲得ヤードPassing leaders、そのパスを受けたレシーバーベスト5のヤード数リストReceiving leadersまであります。

また、冒頭の得点結果にあった学校名Chopticonをクリック、アメフトチームのページに行くと、同校の11月までの毎週の対戦相手、アウェーかホームか、開始時間が表示され、チームの登録選手のポジション、学年を一覧でき、選手名をクリックすると今シーズンの成績も細かく見られるます。ちなみにChopticon高の登録選手は92人もいます。なお同校のリストでは身長体重は空欄ですが、Oxon Hill高の登録88選手中、18人については身長体重が表記されていて、全員について記入しているチームもあります。

ロボットが記事を書くということで注目されたのは、企業が四半期毎の発表する決算報告をAP通信が3年前にAutomated Insights社のAIソフトWordsmithを導入して処理したことからでした。AIはデータを読み解くのが得意ですから。

アメフトの場合もデータ、データに溢れているので、ロボット記者も情報を組み合わせて経済記事同様にスポーツ記事が書けるわけです。(なお、この試合は注目戦だったようで、”人間”の記者も記事を書いています

でも、そのデータはどこから?実は、DCエリアのアメフト団体のようなところがデータを集めているわけではなく、ポストのPRブログにはさらっとしか書いていませんが、各高校のアメフトコーチからデータを集めているようです。

で、週末の試合結果一覧の中で、スコアが黒青字の試合だけにリンクが貼られ、試合展開やデータが出ますが、それは半分以下で、リンクがない黒字のものが多いよう。チームによっては十分なデータ収集に手が回らないか、集計に手間取っているのでしょう。

また、これも基準は分かりませんが、一部の試合結果はTwitterにアップされています。@WashPostHSで探せます。おそらく、体制の整っている有力校からデータが早めに揃った場合に速報されるのでしょう。

ポストは、このロボットを高校アメフトに活用することにしたのは、「注目すべき大事な試合だけでも毎週、10数試合もあり、その全てにスタッフを派遣するのが不可能になってしまった」とし、Heliograghを使えば、ファンに直ちに更新情報を届けられるメリットがある、と説明しています。

ポストの記者も、データ処理に時間を取られず、中身の深い記事の執筆に専念でき、こうした流れは編集局全体の変革にも繋がると述べています。そして来年には、他のスポーツ報道にも拡充する、とも。

日本でも、高校スポーツの華、野球またはサッカー、バレーボール、バスケットボールなどで、地区大会とか県大会の全試合で同じ試みを行えば、それなりのオーディエンスを得られそうです。でも、日本じゃ高校レベルで細かくデータをとる習慣はなさそうですけどね・・・・・