世界最大の家電見本市CES(Consumer Electronics Show)が明日9日から米・ラスベガスで始まりますが、私が個人的に興味を惹かれている出展製品があります。
それはロボマート社(Robomart.Inc)のロボマートといいます。カーシェアリングのウーバーのように、専用アプリからのリクエストを受け取ると直ちに客の自宅前に駆けつける生鮮食品など満載の電気自動車、いわば、オンデマンド型”ミニスーパーカー”です。(と、言っても、こんなずんぐりむっくり=長さ4.2m×幅2.2m×高さ1.9m=ですけど)
しかもこのミニスーパーカーは運転手がいない完全自動運転車。ですから、レジもなしで、客はサイドのドアを開けて、好きな食品を取り出すだけ。(ドアは上に開きます)
中は50~100種類に及ぶ食品類を収納出来る冷蔵庫になっており、何を取り出したかはちゃんと捕捉されます。 買い物を終えて、ドアを閉めれば、勝手に走り去ります。お勘定は、登録時に記載した口座から引き落とされる仕組み。
このコンセプトが注目されたのか、スタートアップ企業情報を伝えるNibletz.comによると、今年は900にも及ぶスタートアップのCES出展の中から、メディアや投資家に直接アピール出来るコンテストに出場する12社の一つに選ばれたとあります。
もちろん、まだ実用化されているわけではありません。小売業界誌Retail Leaderの記事によると、現在はカリフォルニア州自動車局からの< Autonomous Vehicle Testing Permit and License>ー自律自動車試験走行許可及び免許ーを申請している過程だそうで、出来れば、今年夏の終わりにはパイロット事業を始めたい意向のようです。
ただし、このミニスーパー事業をロボマート社が直接、手掛けるわけではありません。希望する事業者にシステムをライセンスするのです。で、実際の開業にあたっては、ライセンスを受けた事業者は一定区域内に、ロボマートを複数台用意して、商品補充と充電するステーションを何箇所か設ける必要もあります。
その事業イメージがロボマート社のサイトにあります。サンフランシスコ・ベイエリアがパイロット事業区域に想定されています。
小さくて見にくいかもしれませんが、画面左側にロボマートを呼びだしている顧客名、画面右側には運用している6台の車が、FUJIとかEMPIREなどの名称で表示され、それぞれの充電度合い、搭載食品が足りているかのチェック、さらに下段には各ステーション毎に、充電器が使えるかどうか、食品の補充が出来るかなどがリアルタイムで表示されています。真ん中は6台の車の現在地ですね。
こう見ると、かなり複雑なシステムで、全体の運用状況はロボマート社が監視するにしても、各事業者にも責任者、各ステーションを維持するスタッフ、仕入れて各ステーションに配送するスタッフ、さらにはトラブルに電話対応するスタッフもいるでしょうから、運転手は要らないと言っても人間はかなり関わる感じです。
となると、何台分もの車自体のコスト(リースにしても)を考えると、消費者には便利に見えて、商品の値段が高くつきそうな印象もします。この点について同社は<On-demand delivery that is more than 5x cheaper on a per order basis>と、多分、歩道を走って商品を配送する配達ロボットを念頭に、「それより5倍も安い」と記述しています。さらに「自社調査では、26歳から44歳の女性の65%近くが週に1回以上はロボマートを利用したいと答えた」と強気です。
先週末の読売新聞で、車に本を積んで書店空白地を巡る「移動書店」が紹介されていました。アマゾン人気のせいで(とは記事にはありませんが)オンラインで本や電子書籍を買う人が増え、街から本屋さんが消える中で、実際に本に触れてもらおうという試みのようです。
こっちの方は、デジタル武装したロボマートと違ってアナログ感横溢、ほっこりという感じで、同じ移動店舗にしても随分と肌合いが違います。でも、便利なオンラインショッピングが浸透する中で、生活に必須の食品も、店に出かけず、かつオンデマンドで入手したいという人の思いは強くなるのでしょうね、多分。それを先取りした感じのロボマート、どう、受け入れられるかが興味深いのです。
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