米軍や米政府の膨大な機密書類をネット上で暴露したウィキリークス。その創始者であるジュリアン・アサンジ(Julian Assange)氏が、別件で官憲に追われ、ロンドンのエクアドル大使館に駆け込んだのは2012年の6月のことでした。そして8月には亡命が認められました

それからもう6年以上も、彼は大使館から一歩も出ていません。保釈中に逃亡したかどで、出ればロンドン警視庁に逮捕され、彼を訴追している米国に移送される恐れがあるからです。

そのアサンジ 氏が、亡命を認め、ずっと面倒を見てくれているエクアドル政府の外相を相手取って訴訟を起こしました。大使館の中で何が起きているのでしょう?

エクアドルの首都キト発のロイター電によると、アサンジ 氏の弁護士が現地で記者会見し、エクアドル政府が新たに制定したアサンジ 氏の取り扱い規定への不満から、アサンジ 氏と政府の仲介役であるホセ・バレンシア外相を相手取ってキトの裁判所に訴え出たとのことです。

その取り扱い規定というのは、ThinkProgressの記事などと総合すると、アサンジ 氏がオンラインで議論することを制限し、面会客の数も制限する、といったことのほかに、自分の医療費や食費、電話代を支払うことを求め、さらにペットの猫が粗相したらそのあとを綺麗にする、ということまで含まれているそうです。

弁護士は、「6年以上も非人間的状態に置かれており、さらなる制約は彼の基本的人権を侵害するものだ」「猫に関する清潔ルールは侮辱的なものだ」などと述べたそう。

当のバレンシア外相は「その規定は国際的な基準とエクアドルの法律に添ったものだ」と答えたそうですが、政府がここにきてアサンジ 氏に厳しい対応に転換したのは、昨年までにアサンジ 氏の保護に500万ドルも支出したとGuardianが報じ、国内的に批判があることや、亡命を認めた左派の前大統領を破って昨年に大統領に就任したレニン・モレノ氏の元で、米国との関係改善が進む中で、早くアサンジ 問題を片付けたい、少なくともアサンジ 氏を厚遇しているように受け取られない姿勢を取る必要があるからのようです。

そのために、エクアドル政府は昨年12月にアサンジ 氏に市民権を与えた上で、外交特権を有する外交官として大使館を堂々と出て、モスクワのエクアドル大使館に派遣する計画を立てましたが、英国政府はアサンジ 氏に外交特権を与えるのを拒否したので実現しなかった、という一幕もあったようです。AP通信によると、アサンジ 氏に市民権を与えることに反対していたエクアドルの野党議員が先週、暴露したもので、サラリーは月2000ドルとするということまで決まっていたとか。

そこまで考えてくれているエクアドル政府に歯向かうかのような訴訟の狙いは何なのか?部外者には自暴自棄の振る舞いのように見えますが、もしかしたら、エクアドルでの裁判ということから、出廷のために特例としてエクアドルに向けて出国する可能性を考えているのかも。というのも、彼は、かってかすかな可能性を求めて、母国オーストラリアの上院議員選に出馬したことがあったことを思い出したからですが・・・(落選しました)。