「IoT=モノのインターネット」というフレーズ、ひところほど目にしなくなりました。それほど、なんでもインターネットに繋がるのが不思議じゃなくなってきてるからでしょうか?
そんな中、米国にはネットに繋がった体温計まであるのを初めて知りました。その数、50万個。平均で日々2.5万の体温データがその発売元に集まるのだそう。こんな形で、値段は20ドルと40ドル。
なんのために集めるかと言うと、間も無く始まるインフルエンザの季節に、その発生をいち早く感知してビジネスに結びつけるためなんだそう。
その体温計の発売元Kinsa社のスマート体温計はスマートフォンのアプリと連動していて、イヤフォンジャックから接続するとその体温情報や症状がKinsa社に送られます。そのアプリ画面はこれです。
その情報には米国版郵便番号ZIPコードが紐付けされている一方、Kinsa社側では3年ないし5年の平均体温のデータを持っているので、送られてきたデータと付き合わせ、どの地域で高熱の人が増えているか、どんな症状が出ているかを知ってインフルエンザ流行の兆しをリアルタイムで掴むというわけです。
それを<Kinsa Insights>という名称のレポートとして大手の製薬会社や生活用品会社などに販売しているとのことで、その購入社の一つClorox社では、流行が広がりそうな地域に、米疾病予防センター(CDC)が推奨する殺菌シートなどのデジタル広告への支出を集中的に増やしているそうで、Kinsa社のケーススタディでは、ネットでの同社広告への反応は22%も伸びたとあります。
また、インフルエンザの流行の兆しがある地域の薬局には、殺菌シートに限らず、対応する薬剤などをたくさん早めに送る手はずが取られることで、結果的に流行を弱める効果も見込めるようでもあります。
いいことづくめのようでもありますが、NYタイムズの記事ではEPIC(電子プライバシー情報センター)の専門家の言として「プライバシーの懸念は薄いが、病人のデータを個々の企業がいかに扱うかの連邦規制が必要だろうし、そのセーフガードは何かという倫理的問題がある」との発言を紹介しています。
まあ、それでも先月に紹介した、咳をしたり、鼻をすすって話しかけると、チキンスープを勧めたり、のど飴を注文したりするスマートスピーカーの特許に比べると、こっちの方が社会的な価値はありそうです。米国に限らず、世界中からデータが集まれば、もっと有意義かもしれないなどと夢想します。
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