今朝(12月12日)の読売新聞には驚かされました。なんと1面社告記事で朝夕刊セットの月極購読料を4400円にするとあったのです。その内容はこの写真でご覧ください。
額にして363円もの引き上げです。しかも、従来のように朝日新聞や毎日新聞と歩調を合わせたかのような値上げでなく。読売単独の値上げです。部数の目減りは避けられないでしょう。「軽減税率の適用される新聞がなぜ?」という声も上がるでしょう。読売経営陣の苦衷はいかばかりかだったかと察します。
これを紹介した私のFacebookのポストには「蛮勇か英断か」というコメントがつきましたが、私は「なんだか身震いするほどの衝撃」とコメント欄に書きました。それが本音です。それについて思いついたことを少しばかりメモしておきます。
10月に公開された新聞世論調査会のデータによると、新聞を毎日読む人は47.0%もいて、民放テレビニュースに次ぐ多さでした。
半数近くも毎日、新聞を読んでいる。一見心強い数字です。ですが、それを年代別に見ると違う景色が見えてきます。
18~19才と20代で毎日、新聞を読んでいる人は5.7%と6.4% と1ケタに止まり、30代でも13%止まり。50代でようやく半数に近づきます。要するに二人に一人近くも毎日のように読まれているという数字の源は60代(66%)と70代(79.3%)によって支えられているにすぎません。
そこで比較したくなるのが、先週公表されたPew Research Centerの調査結果です。これは新聞のほか、テレビ、ラジオのニュース番組、オンラインニュースサイト、ソーシャルメディアから米国の成人がどのようにニュースをゲットしているかを分析したものです。内容は多岐に渡りますが、ここでは、日本の調査との比較で、How often do you read any newspapers in print?という質問の「often」を「ほぼ毎日」と読み替えてご覧ください。
このグラフについた見出しは、ソーシャルメディアからのOftenなニュース取得が初めて新聞を上回ったというものですが、紙の新聞をOften=ほぼ毎日読んでいる人は16%しかいません。
この質問は2016年から始まったのですが、その時点で、すでにニュースサイトの水を開けられ、ラジオニュースにも遅れを取っていました。
テレビニュースも下降気味ですが、それでも49%もあって、2人に1人はまだテレビニュースを毎日のように見ています。
また、ソーシャルメディア(20%)にニュースサイト(ニュースアプリを含んで33%)を加えたオンラインで毎日のようにニュースを取得している人53%に達し、2人に1人以上とテレビニュースを上回っています。
ここでまた、年代別に見てみます。
18歳から29歳までで新聞をOften,毎日のように読んでる人はなんと2%! 30~49歳でも8%にすぎません。一方で65歳以上だとまだ39%と5人中2人が毎日のように読んでいます。もう一つ、新聞好きには残念なデータはこれ。回答者全体で「好みのメディアプラットフォーム」を聞いたものです。
新聞はラジオの半分で、7%しか選ばれていません。2年前に比べても4%のマイナスです。
また、今回初めて、ストリーミングデバイスを使ってテレビ受像機でストリーミングニュースを見るか?の質問に9%がOftenと、いきなり新聞を上回りました。
こういう悲しいデータが積み重なって、米国の新聞離れは深まり、紙の新聞部数は減少を続けています。
ピークの1984年に6364万部あった日刊紙が、1993年に6千万部割れし、昨年は3095万部と半減以下になりました。
日本新聞協会のデータによると日本は朝刊に限ると2000年の3370万部から2017年に3150万部と120万部減に止まっていますが、ここでみたように、若者の新聞離れとデジタル偏重の傾向は日米共通のものです。決して楽観できるものではありません。日本の新聞を支えている60代、70代の方々に残された時間は決して永遠ではないのですから。
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