米週刊誌「TIME」の年末恒例「Person of the Year」に、イスタンブールのサウジアラビア総領事館で殺害された同国籍のコラムニストJamal Khashoggi氏らジャーナリスト4人と米新聞社1社を選びました。題して「Guardians」。報道の自由と民主主義の守り手という意味合いでしょうか。

しかし、そのために世界では毎年多くのジャーナリストが命を落としています。パリに本部を置くNGO国境なき記者団(RSF)が最近リリースしたレポートによると、今年、殺害されたり取材中に死亡したジャーナリストの数は80人に達しました。そのうちプロのジャーナリストは63人で、プロに限った死亡者数はこの10年で700人を超えたということです。(レポートのPDFはこちら)

 

80人の死者のうち、約6割の49人が殺害されたり意図的に標的になったもので、4割にあたる31人が紛争などの取材中に亡くなっています。

最も多くの犠牲者を生んだ国は、今もタリバンとの紛争が続くアフガニスタンで、15人。2番目に多いのはやはり内戦中のシリアの11人。戦時中ではないのに9人を記録したのはメキシコで、私の記憶では政争がらみが多かった印象です。

アメリカでは、6月にメリーランド州アナポリスで、地元の新聞社Capital Gazetteに、以前に書かれた記事に恨みを持つ男性が乱入、ショットガンを乱射して5人(うち記者は4人)を殺害したのと、5月にローカルテレビ局のアンカーとカメラマンがモンスーン取材中に倒れてきた木の下敷きになって死亡したので、ジャーナリストの死者は計6人。

これでRSFが集計を取り出して以来、初めて「メディアにとって世界で最も命懸けの国々(world’s deadliest countries for the media)」の仲間入りをしましたが、銃社会で日常的に乱射事件が報じられる国にしては、やや意外な感じもします。

このほか、「命懸けの国」に入ったのはイエメンとインド。 イエメンも内戦中ですからその犠牲になったジャーナリストの過半数(44人)は紛争地域で亡くなっています。また、亡くなった80人中、75人はその国のジャーナリストでした。国外から来た記者で亡くなったのは5人とこれも意外に少ない数字です。

一方、拘留、投獄されているジャーナリストは348人。そのトップは何と言っても中国で、昨年の54人からさらに増えて60人になっています。そのうちの4分の3にあたる46人は職業的なジャーナリストではないノンプロです。政府が伝統的なメディアを締め付ける中で、それを埋め合わせるために動いているブロガーなどが次々、投獄されているからだとのことです。

これもあってか、今回の調査レポートとは別に、先月にRSFが公開した2018 WORLD PRESS FREEDOM INDEX、報道の自由度ランキングでは、世界180カ国中、中国は176位に位置づけられました。(ビリはもちろん北朝鮮です)

 

この地図にある5か国で187人と世界中の半分以上を占めています。また今年の特徴は、中国でそうであったように、ブロガーなどのノンプロが増えていることで、イランでも3分の2がノンプロです。この結果、ノンプロの抑留・投獄者は昨年の107人から40%も多い150人に達したとのことです。

その一方で、職業的ジャーナリスト=プロの抑留・投獄者は202人から179人に減りました。締め付けが厳しくなる中で自己規制も強まっているのでしょうか?(残りの19人はmedia workersとあります)

また、先日、解放されシリアから帰国した安田純平さんのように人質になっているのは60人。シリアが6人の外国人を人質にとっている以外は、全員が国内メディアのジャーナリストで、中東諸国以外で人質を取っているのはウクライナで、1人だけです。

このほか、メキシコ、ハイチ、ロシアの計3人のジャーナリストが行方不明になっているそうです。

こうしたジャーナリストの数を足し合わせると491人にもなります。その多さを実感させるグラフをCNNが作ってくれているので、コピペさせてもらいます。

あまりの多さにめまいがしそうです。彼らもまたGuardiansと言えるでしょう。