先日、MediaPostがアップした記事にあったこの図表を見て、ちょっと意外な感じを受けました。

インターネット先進国のはずの米国で、半分近くの人たち(45%)がネットに残す”足跡”を減らしている。その背景にあるのは、たった41%の人しか、消費者の個人情報を所有するTech企業がプライバシーを守ると思ってないから、とあります。

勝手な思い込みかもしれませんが、米国ではインターネットも便利さと引き換えにある程度のプライバシーの譲り渡しも許容されつつあるのかと思っていたのです。

しかし、昨日、AXIOSの「あなたについてインターネットが知っていること(What the internet knows about you)」の記事中にあった、人探しサイトで実際に知り合いなどの検索をして見て、いささか衝撃を受けました。わずかなお金を払うだけで、個人のプライバシーが丸裸なのです。

まず試したのはAXIOSにあった人探しサイトの一つ、WhitePages。会員登録なしで知り合いのAさんのフルネームを入れました。もちろん、ローマ字で。

すると、名前の下に「年齢XX代」「アパートの部屋番号入りの現住所」「それ以前の住所4件」「家族と親戚として二人の名前」が出ました。同姓同名の人は何人もいますが、これで、目当ての人はまず特定できます。

その下には「誕生記録」「死亡記録」「離婚歴」などの項目がありますが、こちらは有料です。クリックすると「14日間無料トライアル」とありましたが、カード情報の記入が求められますので、ここは一旦パス。

続いて同じく知り合いのBさんのフルネームも記入。結果は同様。で、AXIOSにあったもう一つの人探しサイトSPOKEOに行って見ました。

再びAさん。こちらでは「性別」「ズバリの年齢」「配偶者名」ときて、「住所」は地名までで番地やアパート名は出ません。そこで、名前の下にある「UNLOCK PROFILE」というボタンを押してみると、「1週間のお試し、今だけ1ドル引きのo.95ドル」とあるので、試してみることにしました。

すると、年齢、正確な住所に加え、年収、人種、既婚かどうかの他に、家族名、現在の勤め先、その肩書き、同僚名、携帯、自宅と職場の固定電話の番号(通信会社名入り)、メールアドレス、これまでに住んでいた住所が7箇所も表示されました。その住所の建物の建造年月日や資産価値まであります。どの程度の暮らし向きだったかも分かるわけですね。

また、実際には会ったことのない米国在住のFacebook友達の名前も入れてみたところ、Facebookに記入してあるものより詳しい情報が出ました。知り合いだけでなく、日本の国連大使の名前も入れてみました。こちらはさすがに情報管理しているせいか、細かいことは出ませんが、住まいと電話番号が出ます。

さらに、お試し料金には含まれず、別料金になりますが、「警察と犯罪記録」「性犯罪登録」「交通違反」「逮捕履歴」などに該当するかどうかの記録にもアクセスできるとあります。もうこうなると個人が丸裸にされたも同然です。

最近はしばしば、巨大Tech企業から個人情報が漏洩したというニュースにお目にかかりますが、実際には、米国ではあらゆる個人情報が日常的に流通しているのだと実感せざるを得ません。だからこそ、冒頭に示したようにアメリカ人は、ネットに警戒感を高めているのでしょう。

個人的な体験ですが、昨年、思い立って中学時代の友人に連絡を取ろうとして、SNS検索を含めインターネットで探し回りましたが、果たせず、最後はアナログ的な手段でようやくたどり着いたということがありました。

その時は、ネットのパワーはまだまだ、などと思いましたが、こんな米国のプライバシーを丸裸にするサービスの存在を知ると、日本はまだ幸せと思うべきなのでしょう。