Uber Japanのサイトによると、そのサービスは世界600都市、500に及ぶ空港まで広がっているそうです。その一つに人口3万7千人のカナダの田舎町が含まれていて、そこではUberが「公共交通機関」として位置付けられてることをCiytLabの記事で知りました。

カナダ最大の都市トロントの北方80kmに位置するイニスフィル(Innisfil)です。かっては農業中心の町だったのですが、トロントの準郊外都市として人口が増え、年々高齢者や学生、車のない大人も増えたので、町内を移動するシステムの必要に迫られたようです。

そこで、バスの運行を検討したところ、ほぼ四角い形状の町を東西か南北に1路線設けるだけで、初年度27万カナダドル(2220万円)、2路線だと61万カナダドル(5200万円)かかることがわかりました。

そこで、町の検討委員会は「バスは高額で見合わない」として2016年6月に「配車サービス」の導入を勧めるレポートをまとめ、Uberと提携することになったのです。2017年のことで、世界で最初の試みだったようです。

町長は当時、こう言いました。「たった数人のために1台のバスを道路に置くより、町のどこからでも何処へでも運ぶ、より良いサービスに前進した」と。

で、町は初年度、15万ドル(1230万円)の助成をUberにしました。それによって、利用者はどこに住んでいても、例えば町役場周辺に行くときは3カナダドル(250円)、トロントなどと結ぶ路線バス停車場なら4ドル(250円)、インスフィルハイツという企業団地に行くなら5ドル(410円)というふうな均一料金で利用できました

この3-5カナダドルという設定はトロントのバス料金並みということだったようです。また、規定の場所以外に行くときは、乗車料金から5ドル、ディスカウントされました。

CityLabの記事によると、このサービスは町民に好評で、70%以上が「満足」と答えたそうです。しかし、満足して使う人が増えると、通常の公共交通機関なら乗客増はコスト減になりますが、一人一台の配車サービスだとその逆になってしまいます。

町の補助金は2018年は64万カナダドル(5260万円)に膨れ上がり、今年は90万カナダドル(7400万円)を予定しているようです。

しかし、それでも、勘定は火の車状態のようで、料金が先月1日に改定され、特定の場所に3-5ドルと設定されていた均一料金がそれぞれ1カナダドルづつ値上げされて4-6カナダドルになり、ディスカウントも5ドルから4ドルに引き下げられました。

さらに、個人の月間利用回数は30回までに制限されました。(申請すればさらに20回、利用できるようですが)

このままいけば、コストがかかるということで見送ったバスを走らせるのより、ずっと町の負担が増えてしまいかねない状況です。(しかも、料金は全部Uberのポケットに入り町には一銭も入らない)

とはいえ、高齢者にとって、自宅前まで迎えに来てくれるUberのサービスがバス代程度で使えるのはとてもありがたいサービスでしょう。それだけに、おいそれと廃止に踏み切るのも難しい。発足時は、「名案だ!」と評判になったらしいこの町のシステムですが、難しい局面にあるようです。

おりしも、Uberの株式市場への新規上場が迫っています。一説には、時価総額は1000億ドル、10兆円を超えるという観測もあります。

上場すれば、いきなりトヨタには及ばずとも、NTT、ドコモ、ソニーといった日本の大企業を上回る時価総額が想定されるUber。その財力でなんとかしてくれないかなあ。アメリカには、企業の社会貢献を尊ぶという気風があるはずなんだけど。