4年ぶりの”快挙”です。米国の就職情報サイトCareerCastの Jobs Ranking of 2018によると、新聞記者=newspaper reporter=は全220職種中218位となり、ワースト3にまでランクを”上げ”ました。

と言うのも、新聞記者は2015年にワースト1になって以来、2017年まで3年連続、最下位に沈んでいたからです。

とはいえ、1950年代後半から60年代半ばにかけてNHKテレビで放送された人気ドラマ「事件記者」を見て育った人間としては、「新聞記者」のこの格付けには違和感が否めません。で、ちょっと調べてみました。

新聞離れが進んでいるのは事実としても、どうしてそこまで評価が低いのか。それは、このランキングが単なる「人気ランキング」ではないからです。

上の図にあるように、「収入」の他に「労働環境」「ストレス」「成長見込み」の3項目について、細かな採点ポイントが設定されていて、この4項目の点数を合算して順位が決まる仕組みです。

で、新聞記者は、サラリーの中間値が4万ドル弱で、労働環境は「とても劣悪」で、ストレスは「とても強い」、成長見込みは「とても不十分」と言うことで、下位に沈みっぱなしだったわけです。(なお、サラリーの中間値が低いのは少部数のローカル新聞が多いためで、全国紙のWall Street Journalの場合は10万ドルを超えています

これに関連して、このランキングをレビューしたコンサル会社24/7 Wall St.は、低ランキングになる理由についてこうコメントしています。

「記者は読者からの吟味に強くさらされ、締め切りに追われるストレスが加わる。さらに政治的な分極化が強まる中で、読者の否定的な反応に出会い、時には死の脅迫すらある。また2026年までの成長見込みはマイナス10%だ」

ネット上に残っている2011年以降のCareerCastランキングでは、同年が200職種中188位で、ワースト10には入っていませんが、2012年にはワースト52013年にはワースト1になった記録があります。

その当時から、新聞を取り巻く環境は厳しさを増す一方。中堅以下のローカル紙は次々にヘッジファンドに買収され、そこでは大幅な人員削減が実施され、労働環境は悪化しています。ごく最近も、ペンシルベニア州フィラデルフィアの郊外ではGhost Newpaperが出回っているという記事を目にしました。

ヘッジファンドの極度の合理化で、人手が足りず、記事内容は同じファンドが買収した近隣の新聞社の記事が転載され、自分の町の情報がないスカスカ新聞になっているという話です。

それでも、最下位から脱出できたのはなぜか?それはUber、Lyftに代表される配車サービスのドライバーが急速に増えたため、タクシー市場が縮小、賃金も下がっているのでタクシードライバーが前年のワースト9位から最下位に沈んだせいでした。

当たり前ですが、職種のランキングは社会経済的な変化を反映します。このランキングの始まりは30年前の「Jobs Rated Almanac」だったそうですので、探してみました。インターネットアーカイブの2000年5月に記録を見つけました。

インターネットの勃興期、ベスト10には、その関係職種が「mathematician」を加えれば6つも入っています。そして2018年のベスト10には、mathematicianは残っていますが、その他は消えて、data scientistとInformation Security Analystが加わっています。ネットが成熟した時代の反映でしょう。

なお、30年前のランキングでは、新聞記者は250職種中176位でした。ネット関係の職種がベスト10から消えたように、そして全米新聞協会=Newspaper Association of America=が3年前に「新聞」を外してニュースメディア連合=News Media Alliance=に変わったように、いずれ「新聞記者」の名称も変わるのでしょう。