米国、カナダのメディアの苦戦が続きます。多数のローカル紙を擁するGateHouse Mediaでは、今年2度目の人員削減で200人近くがレイオフされる見通しだとBusiness Insiderが24日に報じました。GateHouseは年初めにも少なくとも60人をレイオフしたばかりです。
また、同じ24日のTVNewserによると、今月初めに100人余りがbuy out(早期優遇退職)に応じたと伝えられたばかりのCNNで、さらにHelth Unit(健康情報部?)から6、7人がレイオフされるそうです。
今年に入って、こうした情報が間断なく報じられ、その度にその対象になったジャーナリストの行く末を思い、心を痛めていたのですが、Business Insiderは、その数は今年に入って2700人を超えたというまとめ記事を21日に公開していました。
Pewリサーチセンターの昨年夏のレポートによると、2014年から2017年の3年間で新聞の編集局とデジタルニュース業界から失われた仕事の数は5000でした。
なのに、削減は編集局に限らないにせよ、今年の上半期も終わらないうちに2700というのは異常な数字です。おそらく空前のペースでしょう。
そして追い討ちをかけるかのようなCNNやGateHouseでのさらなるレイオフ。この異常な状態を先駆けてまとめてくれたBusiness Insiderの記事から、主なものを記録とご参考のためかいつまんで残しておきます。(番号に続くのはそれを報じたメディアの一例と掲載日、その記事へのリンクです)
1,Deadline(5/6):CNNで100人以上がバイアウトに応じて退職。親会社であるAT&TのWarner Mediaのリストラの一環。
2,NewYorkPost(5/3):ニューオーリンズの182年の歴史を有するTimes-Picayune紙、ライバル紙に買収された後、65人の記者、編集者を含む161人全員がレイオフされた。
3,Variety(4/30):techニュースサイトのGizmodoや風刺ニュースThe Onionなどを有する G/O Mediaで全体の6%にあたる25人をレイオフ。
4,CWA Canada:アルバータの日刊紙が25人をレイオフ。週刊紙の発行停止へ。
5,Cleveland.com(3/15):クリーブランドの日刊紙Plain Dealer、広告収入激減を理由に、計41人をレイオフ。
6,NewYorkPost(3/11):New York Magazineの発行で知られる老舗出版社でフルタイム16人、パートタイムのフリーランサー16人の計32人をレイオフ。デジタル購読体制整備との説明。
7,J-source(2月): Canadian Living, Style at Home, Elle Canada magazinesという著名女性向けブランドを所有する, Groupe TVAで28人のレイオフ。本社移転に伴うリストラだと。
8,Hollywood Reporter(2/1):デジタルメディア最大手の一つVice Mediaで従業員の10%にあたる250人のレイオフ。この3年、競争激化で徐々にアクセス数を減らしていたらしい。
9,Miami News Tims(2/1):マイアミ・ヘラルドなどの中堅紙を擁する新聞チェーンMcClatchyで従業員の10%にあたる450人をbuy outとレイオフで削減へ。戦略的リストラと説明。
10,Business Insider(1/23):Verizonのメディア部門(YahooやAOLなど)で7%にあたる800人を削減へ。デジタル広告の売り上げ不振が響く。
11,Poynter(1/23):100紙を有する新聞チェーン大手のGannettで400人のレイオフへ。ヘッジファンドからの敵対的買収提案に対抗する形で。
12,CNN(1/23):代表的なデジタルメディアの一つBuzz feedで従業員の15%に相当する220人をレイオフへ。
13, CJR(1/25):ダラス・モーニング・ヘラルドでコスト削減のため43人を削減。論説とオピニオン部門を統合、アート担当を減らすと。
このほか、Digg、First Look Media、Condé Nastといった著名メディアでもリストラがありました。ふと、思うのですが、日本の場合、新聞社でもデジタルメディアでも米国のような大掛かりなリストラが生じないのは何故なんだろうって。いや、幸せなことではありますが。
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