ウィンブルドンテニス、錦織圭選手、順調のようです。明日は準々決勝で人気のロジャー・フェデラー選手と対戦します。

そんなこともあって、ウィンブルドンのサイトに行ってみたところ、たくさんのハイライト映像があり、これは30年前から大会の技術パートナーであるIBMが作成していることを知りました。

ウィンブルドンには18のコートがあって、そのうちメインの6つのコートで行われる試合については全てハイライト映像を作っているようなのですが、平均、1コートでは4試合行われるそうなので、その編集は大変そう。Forbesの記事によれば、「人力だと1本編集するのに数時間かかる」そうですから。

でも、心配無用でした。実は、全てのハイライト映像はIBMの例のAI(人工知能)、ワトソンを使ったシステムが自動的に作成しているんです。

しかも、出来上がりは試合終了後、なんと「2分以内」だとIBMのウィンブルドン特設ページにあります。

どうやってそんなに速く作れるのか。この特設サイトやIBM担当者のブログ、さらにいくつかのメディア記事を総合して、理解できる範囲でまとめると、こういうことのようです。

まず、事前にウィンブルドンの過去の試合のビデオ映像を何千分も見て、例えば選手のガッツポーズとそれがどういう局面でポイントを挙げたものなのかなどを関連づけて分析しておきます。それと、プレーに対する観客の反応、例えば拍手喝采の大きさなどや、コートサイドに座って、一つ一つのプレーを、例えば凡ミスかどうか評価する現役テニス選手がリアルタイムで生み出す統計データとを組み合わせて、一つ一つのプレーをランク付けして、ハイライト映像にまとめるのです。

またコートごとに観客の収容人数が異なり、また試合毎に観客数も変動することや、人気選手には声援が多くなることなどを勘案して、観客の反応測定にばらつきが出ないような工夫もされていて、今年からは、例えば、派手なジェスチャーをしない選手の露出が少なくならないような工夫も導入されるなど、進化しているそうです。

そのおかげで、日本からでも、試合が終わればすぐに、お目当て選手のプレーぶりを確認できるわけですが、どうも、公表するかどうかは編集長の判断のようで、錦織選手の4回戦勝利の模様はアップされていません。スコアを見ると危なげなく勝ったようであまり見所がなかったせいでしょうか?残念!

とまれ、なぜIBMがウィンブルドンに協力して技術を磨いているのか?その訳をIBMの担当者自身が明かしていました。つまり、こうして磨いた技術を世間一般に、とりわけ官公庁で使って欲しいようです。担当者ブログこういう一文がありました。

「ビデオを分析して、最も重要なシーンを識別する技術を利用することで、例えば、捜査官が手動で何時間もビデオを操作していながら、大事な出来事を見逃すというミスを避けることができる」

なるほど。AIはテニスから犯罪捜査にも繋がってるんですね。(もちろん、犯罪捜査だけじゃなく「市民にも効率的で一貫性のあるサービス提供を実現する」ともありましたが)