インターネット草創期。同僚が、モノクロで切手大画面のポルノ映像を発見して叫びました。「いいのか?ネットにポルノを流して!」

当時の空気は当然「よくない!」 1996年には東京都内の会社員と高校生が「わいせつ図画公然陳列容疑」で初摘発され、ちょっとした話題になりました。「ネットでポルノが見られるんだ!」と。でも、なんだか恐る恐るだったと思います。

それから20年余り。ネットにはポルノサイトが溢れ、警察は取締りの匙を投げたのか、児童ポルノ以外は、とんと「摘発」の記事を見かけなくなりました。ユーザーの方も、ポルノサイトへのアクセスを気楽にする時代になったように見えます。

しかし、そこに落とし穴があるかもしれません。「ポルノを見ているあなたを見ている人がいる!」ということです。ちょっと怖い。

これは、米国有数の私大、ペンシルベニア大のコミュニケーション大学院出身の博士2人と同大大学院生による調査で判明しました。

この3人は、今はマイクロソフトの研究所にいるElena Marisさん、カーネギーメロン大の教員のTimothy Libert氏、そして博士課程の Jennifer R. Henrichsen さんです。

Libert氏が作成したソフトウェアで2万2千以上のポルノサイトに存在するサードパーティのtrackerを特定して解析したところ、なんと93%のポルノサイトで、少なくとも1つのサードパーティに、アクセスしてきたユーザーのデータを送信していたことが分かったというのです。

そのサードパーティというのは、ユーザーのオンラインプロファイルを構築する会社ですね。米国の有料で提供されている「人探しサイト」がいかにプライバシー丸裸になっているかは、以前、このブログで体験記で紹介しましたが、それに類するサイトでは、こうしたポルノサイトへのアクセス記録から得た情報を加味するのでしょうね。

例えば「同性愛サイト」もしばしば覗いていれば、ゲイかレズビアンの性癖あり、と判断されてしまうのでしょう。

そこでMarisさんはこう記します。「米国の多くの州では、LGBTQ(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、「Q」の解説はここ)を理由に解雇されうる。同性愛者のポルノサイトを閲覧したという歴史のリークは深刻な潜在的リスクになる」

さらに恐ろしいのは、ポルノサイトを覗かなくても、同じような危険が潜んでいるとのことです。

それは、あなた自身が「パーソナル」または「センシティブ」と見なすような情報にアクセスした場合、それもtrackingされうるというのです。

「Trackingのエコシステムは巨大で常に変化しており、オンラインでtrackingを本当に避けるのは信じられないほど困難だ」とHenrichsen さん。

それを避けるために、ブラウザの設定をシークレットモードやプライベートモードにしても、ほとんど効果は無い、とも。

そうして作られたオンラインプロファイルが、もしかしたら内緒で企業の採用担当者や、昇進を左右する人事考課用に売られてるのかも。リクルートキャリアが、就活生の「内定辞退率」の予測データを密かに企業側に売っていたように。