片足で地面を蹴って、滑るように走るキックボード(またはキックスケーター)と言う乗り物で遊んでいる子供を時々、見かけますね。
それのサイズを大人向けにして、モーターで走るのが電動キックボード(米国では電動スクーターと言うのが一般的なよう)です。その現物はこんな感じ。(WIND日本法人の報道用資料から拝借)
実は、この電動スクーター(頭にElectricのEをつけてE-Scooterと称します)を、短時間、借りて利用できるサービスが、欧米では、かなり普及しているらしいのです。
海外取材の際によく利用するという、ジャーナリストの西田 宗千佳さんが、利用体験記を書いていて、概要が掴めます。
要するに、この大人向けスクーターには、モーターに加え、自分の位置を知らせるGPS通信モジュールが組み込まれているので、利用者は、スマホのアプリを開けば、どこにシェアできるスクーターがあるかが分かります。そこで、一番近くのスクーターに向かい、アプリ上で「利用開始」すれば、ロックが解除されてすぐ乗れる、ということです。それにはスクーターに付いているQRコードを使うようです。
どうも、欧米でのサービスでは、乗り捨てが一般的なようです。どこに置かれようと、アプリで所在が明らかなので、構わないということなのでしょうが、西田さんも書いているように、無秩序に放置されたEスクーターが「景観」を損ねるという問題もあるようで、一部には「乗り捨て禁止」地区もあるそうです。
ただし、何回か利用されるとバッテリーが上がってしまいます。そのバッテリー容量はオペレーターの方で把握していて、少なくなったら、業者が出かけて行って、回収し、充電しなければなりません。放置しっぱなしでは済まないのです。
前置きが長くなりました。本題はこれからです。
このような、景観問題や充電のために人力を割かなければならないという問題、さらに、利用度の高そうな地区に、集中的にスクーターを配置したり、UberやLyftのようなライドシェアリングサービスのように、呼べば目の前までEスクーターがきてくれる、などなどを一挙に解決、実現するEスクーターが実現しそうなのです。
これはTechCrunchが伝えたもので、要するに自動運転機能付Eスクーターです。人が乗っていなくても、本部でリモートコントロールして、辺鄙なところで乗り捨てられたスクーターを街中の充電ステーションに戻したり、頻繁に利用されそうな場所に集めたり、あるいは呼び出されれば、どこにでも迎えに行くのです。
サンフランシスコのスタートアップTortoise(亀!)社が構想しているものです。創業者は、無人自動車のライドシェアを構想しているUberでビジネス開発を担当する幹部だったそう。
AXIOSの記事によると、すでにレファレンスデザイン(メーカー向けの設計図)も開発済みとかで、モーターのほか、2つのカメラ、プロセッサー、レーダーチップ、スタンドの代わりになるrobotic補助輪などで構成されるよう。
つまり、今、世界の自動車メーカーが躍起になって開発している無人自動運転自動車のEスクーター版なのですね。
そして、ジョージア州アトランタ郊外のPeachtree Corners市とEスクーターの配置テストを行うことで合意したそうで、メーカーとの話し合いも進んでいるようです。
欧州数カ国でサービスを展開するWINDの幹部は、Tortoiseの無人スクーターについて「歩道を綺麗にし、歩行者の安全に資する。利用者は歩いて2分以内に乗れるようになる」と歓迎の意向を表明しているとか。
なんだか、人の乗ってないスクーターが街中を疾走して、自分の居場所にきちんと収まるなんてシュールな感じで、現実感がないですが、その日は意外と近いのかもしれません。
(ただし、日本では、原動機付自転車の扱いになるなど、Eスクーターへの規制が諸外国より厳しいようで、数社が千葉、埼玉、福岡などで動き出してはいますが、まだ、実証実験レベルのよう。関係者によると、「行政側とルール作りの段階」とのことでした。日本に限れば、無人Eスクーターはだいぶ先かな)
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