昨日の天皇即位パレード、警察はドローンによる襲撃に備えて、妨害電波でドローンを撃ち落とすジャミングガンを増やして警戒に当たったとのことです。

その前日の9日朝には、関西国際空港でドローンらしきものが確認され、1時間以上に亘って離着陸を停止、2便欠航、44便に影響が出るという騒ぎがありました。

なんだか、日本ではドローンに関しては、ネガティブ、あるいは瑣末なことに大騒ぎしてる感じですが、英文ニュースでは、このところポジティブ、あるいは重大なドローン関連ニュースを立て続けに目にしましたので記録しておきます。

まずは、米国では、ドローン関連の求人が急増しているそうです。これはAXIOSに載った求人の地域別データです。細かくて見にくいかもしれませんが、今年1月から10月末までの広告での求人数をまとめたもので、ブルーの色合いが濃いほど求人が多いことを示します。例えば、ニューヨーク近辺では2000人も求人がありました。

AXIOSでは、もっと大きなインタラクティブマップになっていて具体数も見られるので、関心のある方は、ぜひご覧ください。

記事では、すでに数千人がドローンの仕事に関わり、他のtech産業の揺籃期をはるかに超える求人の増えかただ、と書いています。

そして、関係者の言として、ドローンはいずれあらゆる産業に関わってくるだろうとし、その仕事も、開発者やパイロットのような通常のものから、海水浴客をサメから守るLifeguardや、子供にドローンのイロハから高度な設計まで教えるサマーキャンプのコンサルタントまで、幅広いと紹介しています。

ただし、ドローンの自律性が高まり、同時に当局による「目視内飛行」の規制が解けたら、UPSやAmazonなどは、世界中の自社配送ドローンを一箇所で管理するかもしれない、そうなればubiquitous drone jobsではなくなるかも、とも示唆していてちょっと不気味。

さて、そのUPS。先週、初の商用ドローン配送飛行を行いました。場所はノースカロライナ州のケイリー(Cary)という州都ローリーの衛星都市です。

運んだのはドラッグチェーンCVSの医薬品。個人の家庭と老人ホーム。芝生の上空でホバリングして、6メートルの高さからスルスルと下ろす様子がビデオで紹介されています。

UPSとCVSによると、これはFAA(連邦航空局)によって認可されたプログラムの元での料金を徴収する初の商用サービスだとのこと。名称はFlight Forwardと言います。

「命を救う医薬品が必要とされる地方、田舎のコミュニテイに大きな可能性を見ている」「消費者は、時には都合悪く我々の店にアクセスできないこともあるだろう」と両社。

また、Googleの親会社Alphabetが所有するドローン会社WingはUPSのライバルFedEXと提携し、バージニア州でパイロット事業を始めるそう。

かって、このドローン配送をいち早くぶち上げたのはAmazonでした。今年6月に「Prime Air」を「数カ月以内に」開始すると発表しましたが、その続報は見当たらず、手間取っているようですがいずれ始まるでしょう。いよいよ高機能化したドローンによる空中配送時代の始まりです。

一方、その高機能化がおぞましい方向にも進んでいます。同じく先週のことですが、米国のMark Esper国防長官が、「中国はlethal autonomyを中東に輸出している」と初めて言明したのです。

lethal autonomyとは何か。これは標的を自動的に探し出し、装着した銃器で正確に攻撃し死に至らしめるドローンを指すようです。

軍事情報サイトDefenceOneの記事によると、マシンガンを装着したヘリコプタードローンを製造している中国のZiyan社は「標的への正確な攻撃を含むより複雑な任務をこなせる」と述べているようです。

Esper長官は、その殺人ドローンの輸出先は言明しなかったようですが、国防省Joint AIセンターの幹部の今年2 月の報告書には「パキスタンとサウジアラビアへ売り込む交渉をしている」とあったそう。

そしてこうも。「AI武器競争への懸念が表明されているにも関わらず、中国の指導部は、AIの軍事利用を不可避なものとし、積極的に追い求めている」

また、中国第三の軍事企業の幹部は昨年、「将来の戦場には人間はいないだろう。早ければ2025年には」と予言したとDefenceOneの記事にあります。

AXIOSの記事の最後にあったように、UPSやAmazonのセンターと同様、ドローン戦隊を率いる大国のオペレーションセンターは、戦場を遠く離れた、どっかのビルになるのでしょうね。まさか同居ってことはないだろうけど。