首相主催の「桜を見る会」を巡るゴタゴタがおさまりません。今度は、飲食物の納入業者が安倍総理夫妻の”お友達”だったという話。どっかで聞いた話の繰り返しみたいな。

政治家と企業のスタンスの取り方はなかなか難しいものだと思わさせられる一件ですが、そんな折に、米国連邦議員と政治献金および株所有について言及したAXIOSの記事が目に留まりました。

GAFA=Gogle、Amazon、Facebook、Apple=を中心とする巨大tech企業を野放しにしていいかという議論を行なっている連邦議会下院の司法委員会所属の議員に、そのGAFAなどから多額の献金を受けたり、自身でGAFAなどのtech株を所有する議員が少なくないというのです。

まず、政治献金ですが、去年の中間選挙でGAFAにMicrosoft(MS)を加えたTech大手から下院司法委員会のメンバーになされた献金額はトータルで50万ドルを超えたそうです。その各社別の額はこれ。

このうち、89,400ドルはカリフォルニア州のシリコンバレーに近い選挙区選出で議員歴25年のベテランZoe Lofgren議員(民主)に上記5社全てから献金されていました。

そして、なんと下院司法委員長Jerry Nadler議員(民主)もGoogleの親会社AlphabetとFacebook、Microsoftから計53,708ドルを受け取っていて、司法委の重要メンバーだというDoug Collins議員(共和)はMSとAlphabetから計21,500ドルという具合に、党派を超えて行われていました。

そして、司法委メンバーでGAFAなどの巨大tech企業の株を所有する議員は7人にのぼっているそうです。

Lofgren議員はAlphabet、Apple、Facebook、MS、Intelなどを所有、共和党 Steve Chabot 議員は1,5万ドルから5万ドルの価値のあるFacebookとNetflix株を所有しているという具合。

AXIOSの記事のリンク先にあったMorning Consultの7月の記事によると、巨大tech 企業についての審査に当たる司法委の独禁法小委メンバー13人のうち2人がtech株とテレコム株を所有しており、個人情報法案を審査している上院商業委員会のRoger Wicker委員長(共和)はアマゾン株を所有、小委ワーキンググループ6人の1人、Jerry  Moran議員(共和)はAlphabet、Apple、MSなどで少なくとも2万3千ドル相当の株を持つと報じられているそうです。

もっとすごいのは下院議長のNancy Pelosi議員(民主)で、実業家の夫を通しての投資で、tech株だけでその評価額は少なくとも840万ドルに達します。その内訳はこうなってるそう。

Google以外の有力tech株を網羅、Apple株だけで5億5千万円相当!彼女は司法委には属していませんが、下院全体を仕切る立場ですから法案審議にも相応の影響力を持つことでしょう。

今はどうか知りませんが、昔は、新聞記者が株を持つことはタブー視されていたように思います。所有する株の会社について記事を書くときになんらかの私情が入りかねないと思われたからでしょう。

その伝で行けば、なにやら、GAFAなどの振る舞いにブレーキをかける動きを標榜する委員会の議員がtech株を持っていることに一抹の違和感があります。

日本だって同じようなことがきっとあるのでしょうが、日本の国会議員は資産公開で、株式の銘柄と株数の公表を義務付けられていますが、株価を乗じた金額は必要なく、また、議員の所属する委員会などと紐づけた記事はお目にかかりません。

まあ、政策立案と関係のなさそうな「桜を見る会」を巡る話より、まさに政治に関わるかもしれないこうした記事を期待したいと思います。