米国で大流行りの配車サービス。そのNo.2のLyftを相手取った訴訟が今週水曜日に出されました。
ワシントンポストによると、Lyftを利用して、レイプなどの性的被害を受けたとする20人が、会社側が乗客の安全対策を怠ったせいだとして、その責任を問うものです。
配車サービスを巡っては、CNNが昨年5月、「米配車サービス大手ウーバーで乗客に対する性暴力の罪に問われた運転手は、全米で過去4年間に少なくとも103人いたことが、CNNの独自調査で明らかになった」とする記事を配信していました。
ポストの記事といい、CNNの記事といい、何か配車サービスの運転手の質がとんでもなく悪く、不安を煽る感じがないでもありません。
その実態はどうなのか?Lyftに対する訴訟が出された翌日の5日、当のUberがタイミングよく、84ページに及ぶ「US Safety Reort」を公表しました。
これは、Uberの稼働中に起きた衝突事故、殺人事件、そして性的暴行について初めてまとめたもので、今回は2017年と2018年についてです。
それによると2018年中に、58人が事故で死亡、9人が殺害されたが、乗車回数は13億回もあるなかでの数字なので、99.9%は安全だとしています。
レポートの大半は「性的暴行問題」に割かれ、そのパートの冒頭にはこの表が掲げられています。興味深いので紹介します。
被害件数は2017年が2936件、2018年は3045件。これを、民間団体の協力も得て、5つのレベルに分類しました。
元になったデータセットは、Uberのアプリにある被害レポート届け、オンラインでの連絡、ヘルプページにあるCritical Safety Response Lineでの報告をまとめたものです。容易に連絡できるので警察への届けより、はるかに実態に近いはずとしています。
字が細かいので、読み取りは困難でしょうが、上から順に説明します。
いずれも頭に「合意なき」と付きますが、それは省略して、第一カテゴリーは「腕や足など非性的部分へのキス(舐める、噛むを含む)」で、2年合計1164件。遭遇する確率は200万乗車に1回。
第二カテゴリーは、「性行為の試み」。相手の衣類を脱がせようとして果たせなかったなどのよう。これは400万回乗車で1回の遭遇率。
第三カテゴリーは「唇、胸、尻、性器など性的部分へのタッチ」。これが数字的には一番多くて80万回乗車で1回の遭遇率。
第四カテゴリーは、その「性的部分へのキス」で、300万乗車に1回の危険率。
最悪の第五カテゴリーが、ズバリ「レイプに至ったケース」で、500万回に1回の確率で起きる、とあります。その実数は2017年が229件、2018年は235件でした。
つまり、Uberでは、率直に件数を掲げる一方、膨大な乗車回数の元では、被害にあう確率は宝くじ以下、と言っているようなものです。
それだけではありません。こんな記述の驚きました。要旨、こうです。
「新聞沙汰になったUberに関わるとみられる2894件の性的暴行事件のうち、92%が運転手が加害者だと見なされていた」
「実際はどうか。5つのカテゴリーにおいて、45%は乗客が加害者側だ」
驚くべき指摘です。この部分は何度も読み返しましたが、その根拠を読み取ることはできませんでした。(英語力のないせいかもしれません)
そしてこう続きます。「運転手には自らの経験を語る権利があり、そうして我々は、運転手と乗客のための可能な限りの安全な環境をを作り出せる」と。
配車サービスの運転手が一方的にレイプ事件を起こす、というイメージを覆すのに躍起という感じです。
まあ、しかし、いくら、遭遇率が低くとも、事件はあることはある。それに引き換え、日本ではタクシー運転手がお客をレイプしたという話は寡聞にして聞きません。ありがたいことです。
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