この時期は、新聞・テレビが一年を振り返って「10大ニュース」などを報じますが、毎年、アメリカ人の意識やジャーナリズム、インターネットに関する何百本ものレポートを公表しているシンクタンクPew Research Centerが、この10年を形作ったtech関連の10大トレンドをまとめた<10 tech-related trends that shaped the decade>を公表しました。資料的価値もありそうなのでかいつまんでまとめてみます。

1、<ソーシャルメディア>は他人と繋がり、ニュースを見つけ政治に関わる大人気のプラットフォームになった。2005年にPewが米国の成人に「ソーシャルメディアを使っているかと」と質問した時にはたったの5%だったが、今や72%で、65歳以上でも40%に達する。

2、<ソーシャルメディア>この10年はアラブの春に始まり、香港の抗議で終わった。どこでもソーシャルメディアは彼らの主張を広げ、組織するのに使われた。ただし、ソーシャルメディアの及ぼす影響についてのアメリカ人の見解は分かれる。65%は「少数グループに発言権を与える良いもの」とするが、同時に77%は「本当に大事な問題から人々の目を逸らすもの」とも答えている。

3、<スマホ>この10年の最大のデジタルトレンドの1つはモバイル接続の着実な上昇だ。Pewがこの件を調査した2011年以来、スマホ接続は2倍の37%になった。その時のスマホ所有率は35%で今は81%だ。特に13-17歳は95%。また2010年代はタブレット出現の10年でもあった。大人の52%が使っている。

4、<screen time>モバイルとソーシャルメディア使用の拡大は、アメリカの若者のscreen time(画面を見ている時間)の悪影響についての議論を呼んでいる。10代の54%が携帯画面を見過ぎだとし、ソーシャルメディアの使いすぎは41%、26%がゲームをやり過ぎだと。そして半数以上が減らしている。

5、<プライバシー>データのプライバシーと監視はpostスノーデン時代に大きな関心事となった。2013年にNSAの監視実態を暴いた後に、約半数(49%)のアメリカ人は「機密情報の公開は公共の利益にかなう」とし、44%が「公共の利益を損ねた」と回答した。

6、<ギグ・エコノミー>Techプラットフォームはギグ・エコノミーの拡大をもたらした。その代表例は配車サービス。昨年秋の調査ではアメリカ人の36%もがUberやLyftのようなサービスを使った。2015年は15%だった。

 

7、<オンラインハラスメント>はかなり一般的になっている。昨年調査では10代の59%が経験し、一昨年調査では大人の41%も経験している。最も多いのはoffensive name-calling (攻撃的な悪口雑言)で27%だった。

8、<fake news>でっち上げニュースと偽情報を懸念する人が今年6月の調査で50%にも達した。この数字は暴力犯罪、気候変動、人種差別、不法移民、テロなどの懸案より高い。

9、<性差別>アメリカ人の多数派(73%)はtech業界での女性に対する性差別は問題だと見做している。うち37%は大問題(major problem)とした。男性より女性の方が大問題と捉える割合が高い。他産業従業員の調査では「tech産業より女性差別がある」と答えた女性が33%にも達した。

10、<tech企業>に対するアメリカ人の見方は、近年、好意的でなくなっている。ネガティブな見方も増えていて、昨年6月の調査では51%が「大手tech企業には今より規制を課すべきだ」と。

以上がこの10年に起きた10大デジタルトレンドというわけですが、2015年から続いてきた「Striking finding」(すごい発見。今年は2019年にちなんで19 項目)シリーズからは、例年、いくつかあったデジタルのトピックは含まれていません。ただ、9番目に、ちょっと切ない項目があったので紹介します。これも、デジタルの波に洗われた現象ですから。

「米国の新聞発行部数は、記録の残る1940年以来、最低レベルになった。プリントとデジタルを合わせ週日が2860万部、日曜版が3080万部で、それぞれ、前年より8%と9%減である」