今朝は新たに購読を申し込んだ英文ニューズレターが届いたので、読み始めましたが、あまりの出来の良さに驚きました。

その名は「Morning Brew(朝の一杯)」と言います。内容は「ウォール・ストリートからシリコンバレーまでカバーする」無料のビジネスニュースで、月曜から土曜日まで毎日、朝6時に配信です。

成り立ちがFacebookに似通っているのが興味深いところですが、対象が就職を目指す大学生やビジネスパーソンなので、Facebookのような爆発的な広がりはなくても、実質スタート後、3年半で購読者が200万人と言われていて、業容も拡大していますから、大化けの予感もあります。

成り立ちを紹介する前に、私に昨夜8時すぎ(Morning Brew本社のあるニューヨーク時間で朝6時)に届いたメールの主な内容を紹介します。

最初にあるのはMacBookProプレゼント企画の結果発表です。マーケティングの一環なんでしょうが、新たな読者を紹介するとこの企画に参加できたのです。でも、外れた人にもう一回、チャンスがあるよ、と書いています。

本文の前に、前日の株価などマーケットの数字を簡潔に。市場に関係した要素について短いコメント。この日はトランプの一般教書演説の要素とS&P500がこの半年で最も良かった、とあります。前者にはNYTへの、後者にはWSJへの記事リンクがありますので、詳しく知りたければ飛べる仕組み。

本文の最初は、民主党アイオワ党員集会の不手際。<何が悪かったか>→<誰が非難しているか>→<今後への影響>と手際よく記述し、<結論>として「開票の遅延は不正確よりまし>と締めくくっています。

次は<小売り>で、巨大デパートMacyの行方について。向こう3年で全体の5分の1にあたる125店を閉め、2000人を削減。落ち目の巨大mallを離れ、従来店の10%ほどの小さなサイズの店をMarket by Macyの名称で、幹線道路の近くのショッピングセンターに出す、とこれまた簡潔にいろんな情報が提示されます。

ストリーミングサービスに昨年10月に参入したDisney+の初めての四半期収支について。初日に1000万加入があって話題になりましたが、四半期終了時には予想を上回る2650万人。83日でNetflixの17%になったなどとあります。

この後の見出しに<Expert > Not Expert>とあるので、何だろうと読みだしたら、お金のことは専門家に相談するのが一番という趣旨の金融投資アドバイス会社のネイティブ広告(記事風広告)でした。(後段にもいくつかのネイティブ広告が登場します)

これが、Morning Brewの収入源で、マイクロソフトやJPモルガンなどを含む40社に及ぶクライアントがいて、週あたりの広告収入は平均20万ドルだそう。(広告出稿主は、メールの開封数に応じて課金されます。開封率は平均45%)

<公衆衛生>では、もちろんコロナウィルスを取り上げてます。視点は「産業界への影響」。<ギャンブル>では、マカオのカジノが2週間閉鎖。そこからの収入に頼るマカオ政府は大変だと。<自動車>では、中国からの部品枯渇で韓国の現代は自国での生産を一時停止。<ラグジュアリー>デンマークのミンクブリーダーは200万枚の毛皮オークションを棚上げ、といった知らなかった話をいくつも。

その次は、またまたファストフードWendyのネイティブ広告。他社製品との好き嫌いをインタラクティブで問う仕組みになってました。

<その他>では、このところ株価が爆上げ中の電気自動車メーカーTesla、第4四半期が不調だったSnapChatのSnap、ブルームバーグ候補がテレビ広告をさらに倍増中、NYSEの親会社がeBay買収に300億ドル提示、Instagramの昨年の広告収入は200億ドルに達し、これがFacebook全収入の4分の1以上だ、という情報が各々2行で書かれています。もちろん、全ての記事には、詳しく知りたい人向けのリンクが付いています。

そのあとがまた面白い。「編集部から」として「<Brexit>はBritainとExitの合成だが、あなたが自分の<州>にバイバイするときの合成語を考えて、と先週、尋ねた結果発表」とあって、そのいくつかが紹介され、「まだやってるからTwitterページにどうぞ」とあります。

で、今日の締めは、連騰して1599億ドルに達したTeslaの時価総額はどのくらいすごい数字かを読者に問うもの。それは1.McDonald’s  2.Ford+GM+Honda  3.Nike 4.Goldman Sacks+Morgan Stanley  5.30Macy’sのそれぞれの株価総額とどっちがデカイかという質問でした。その結果はすぐ下にありました。勉強になります。

どうですか、ちょっとクドく説明しましたが、何だかアメリカのビジネス通になった気がしませんか。少なくとも、毎日、読んでいればそうなるような気がします。

MediaPostの記事によると、読者層は、年収10万ドル以上の若手専門家で平均年齢は28歳。男性読者が55%(女性も多い!)、東西の海岸沿いの居住者とあります。

「彼らは会社で最も賢い人でいたいが、忙しくて全体的なニュースを入手するのに5分以上の時間がない」と創業者のAlex Lieberman。そこから「5分で読める」がキャッチフレーズになったようです。

実際には、それは無理でも、ネイティブアメリカンなら10分か15分で読み通せるかも知れません。こんなに情報は多岐にわたっていますが、それほど、個々の記事はコンパクトなのです。

なぜ、こういうスタイルにしたか。Forbesの記事などいくつかを総合すると、始まりはAlexがミシガン大学のビジネス専攻4年生の時でした。早々とモルガン・スタンレーへの就職が内定していたので、4年次には2つの講座しか取らずにすみました。

多くの同級生は就職のためにWSJを読んで知識を吸収するのに躍起になっていましたが、実際には読み通せる時間はとてもない。そこで、暇なAlexが友人にビジネス記事の要約をPDFで送り出したのが始まりです。

それが2014 年のこと。当時のタイトルは「The Market Corner」でした。その最初の読者の一人で同じビジネス専攻の後輩、Austin Riefが協力を申し出てのちの共同創業者になります。

(この辺りが、ハーバード大時代にザッカーバーグとエドアルド・サリバンの二人で始めたFacebookを想起した所以です。あれは男子学生が女子学生を知るのに便利ってことからでしたが(笑))

ですが、Alexは母親の強い願いで2015年、モルガン・スタンレーに入社、このサービスは一旦途切れます。しかし、Austinが卒業した後の2017年の後半、二人は友人や家族から75万ドルを集めて、本格的に再開し、フルタイムで働きだしました。

そして、昨年3月には100万部に達し、この春は200万部は堅いと見られ、収入も1300万ドルだということです。社員も23人になりました。

業容も拡大し、Podcast「Business Casual」を始めていますし、毎日配信ではありませんが、小売やハイテクに絞ったニューズレターもだし始めました。

まあ、既存メディアの報道に乗っかったヤドカリ的なビジネスではありますが、短くまとめた記事は自前ですし、ちゃんとリンクも貼ってるので、問題は少ないでしょう。どこまでFacebookに追いつけるか。注目です。