ジャーナリズムスクールとして有名なコロンビア大大学院が発行するCJRに「『shoe-leather reporting』がコロナウィルスによっていかに制限されうるか」、という記事を見かけました。

<shoe-leather reporting>を直訳すれば「革靴報道」。???。ググって解明できました。電話取材やネット検索などで記事を書くのでなく、革靴をすり減らして現場に出向いて、取材した記事というような意味合いですね。ま、日本流に言えば、「足で稼いだ記事」でしょうか。

それが、コロナ禍でジャーナリストにも制約がかかり、いかに出来なくなっているかを概観した内容でした。その内容を他の報道機關の記事を補足しつつ紹介すると、こういうことです。

例えば、大統領選取材。トランプ、バイデン、サンダース氏は全て高齢で、コロナウィルスにもっとも用心すべき年齢なので、多くの集会がキャンセルになっています。

なので、彼らを追いかけてきた記者が現場に行って質問したり、支持者の声を直接、取材することが出来なくなっている、ということです。

また、米4大プロスポーツのうち、シーズンを終えたNFLを除くMLB、NBA、NHLに加え、人気が上がってきたNSLの4団体が共同声明で「試合前と試合後に選手との密接な接触を避けるために全てのチームのロッカールームとクラブハウスへに出入りはチーム関係者に限る」として、事実上、記者を締め出すことになった例もあります。

さらに、2月末の4日間、共和党の有力議員らも参加し、ワシントンDC近くで開催されたCPAC(保守政治行動会議)の関係者からコロナウィルスの感染者が出たことから、それを取材した記者に対して、Politico、ワシントンポスト、DailyBeast、MotherJonesなどでは自主的に隔離するよう要請されています。

出版大手のコンデ・ナストではイタリア・ミラノでのファッションウィークを取材した記者を含め、コロナウィルの影響が出ている国を訪れた社員には自宅で2週間過ごすよう指示しています。

ニューヨークタイムズ、ワシントンポスト、CNNなどでは出張を厳しく制限するようになっているそうです。

イタリアのペルージャで4月はじめに開催予定だった国際ジャーナリズムフェステバルは早々と中止になっています。

このほか、今週、目にした関連報道をいくつか拾ってみます。

Deadlineによると、CBSNewsではスタッフ2人が陽性と分かり、ニューヨークオフィスの消毒と清掃のため、2日間、従業員にリモートで仕事をするように伝えたそうです。

Washingtonianはワシントンポストの発行人Fred Ryan名の全社員向けのメモを入手しましたが、そこには「新コロナウィルスへの対応として、”可能なら可能なら自宅勤務を勧める”」とあり、この措置は少なくとも月末まで続けるとしています。

こうした中、NYタイムズ、ワシントンポスト、ブルームバーグニュース、Atlanticなどデジタルサイトを有料化している大手メディアは、コロナウィルス関連報道に関しては、非購読者にも無料で記事を開放し出しました。

その一方、トランプ支持の立場から、コロナウィルス禍を過小評価して、民主党はトランプ攻撃のために騒いでいるなどと発言していたFoxNewsの複数の番組ホストに対し、同社のCEOと社長が「深刻に捉えるべきだ」とスタッフに警告し、在宅勤務を含めてコロナ禍と闘う体制作りの検討や、スタジオゲストの削減、オフィスの清掃などを進めるそうです。

ジャーナリズムではありませんが、自主制作番組の多いNetflixは米国とカナダでの全ての制作作業を2週間、休止すると12日に発表したほか、ABC、CBS、NBCuniversal、DisneyTVスタジオなどネットワークテレビ局や制作会社も対応に追われているとHollywoodReporterが報じています

このため、ハリウッドは「前例のない危機に陥ってる」との見出しで、スタジオ関係者の生活が脅かされかねない、とVarietyの長文記事が訴えています。

こうした、米国メディアの様々な動きに比べると、日本のメディアが対応に大わらわ、という話はほとんど報じられていないのが、ちょっと不思議な感じがしないでもありません。

ま、よくとれば、shoe-leather reportingは、コロナ禍の中でも健在ってことでしょうか?