数日前に、ワシントンポストに「ホームレスの命綱の新聞が印刷を止めた」という記事が出ました。

どういうことか。ワシントンD.C.で発行されている「The Street Sense」という新聞があるのですが、これは日本で言えば「ビッグイシュー」のような、主としてホームレスの人たちが街頭で売る隔週刊のストリートペーパーです。

このタブロイド16ページの新聞は、コロナウィルスの蔓延で人出が激減したため、売り上げもガタ落ち、半分以下になっちゃった。しかも、対面販売で売り手(Vendor)に罹患の恐れもある。

そこで、これを発行するNPO、Street Sense Mediaは3月26日に「苦渋の決断」として、発行を止めざるを得なくなりました。

しかし、これを安く仕入れて、街頭で2ドルで販売してきた130人のベンダーは売るものがなくなってそれこそ露頭に迷うことになっちゃた、ということです。

ベンダーの取り分の詳細についての記述はありませんが、登場人物の一人によれば、週に少なくとも300ドルの売り上げがあったそう。別の記事によるとベンダーの取り分は4分の3とありましたから、月に1000ドルはあったであろう、稼ぎが飛んじゃったわけです。

そこで、このNPOでは、住まいがないと手に入らないかもしれない政府の1000ドル小切手給付の確保や食料に換えられるフードスタンプの申請、さらに、ジャーナリズム支援に乗り出しているFaceBookやGoogleのプロジェクトへの応募など、ホームレスベンダーのために手を尽くしています。

もちろん寄付も呼びかけていて、これまでに8万2千ドルが集まっているとのこと。しかし、政府の中小企業向け融資は、先々、返済リスクが高いから手を出さないと堅実でもあります。

この新聞の特徴は、掲載される記事の多くが、ベンダーを務めるホームレス自身や生活困窮者によるものなことです。ですから”失職”したベンダーたちは、自らの作品作りに励みStreet Senseのwebページに掲載しています。

その数、プリント停止後、エッセイや詩などホームレスらによる19本の作品が追加されたそうです。

こうした活動を描いた記事には18本の激励のコメントが寄せられていますが、「(大金持ちのベゾス氏が)プリント版の新聞を買い取って、自らのワシントンポストに挿入して配達すればいい」という提案には笑ってしまいましたが、妙案かも。

さて、そこで、日本のストリートペーパー「ビッグイシュー」はどうなのか、気になって調べてみました。

こっちも、コロナウィルス 感染拡大で、売り上げはガタ落ち。こちらのベンダーは1冊220円で仕入れて450円で売ります。取り分は230円。そこで、日本版の出版元ビッグイシュー日本(大阪)によると、売り上げ減をカバーするために「コロナ緊急3ヵ月通信販売」なる試みを4月から始めていました。

これは、隔週刊の雑誌を3ヶ月、計6冊の予約販売するものです。目論見はこれです。スクリーンショットです。

目標数は2000件でしたが、今朝、電話で問い合わせたところ9500件に達しているとのことでした、目標の5倍、1万件も間近です。1万件なら、一人当たり合計23万円になる計算。そして「次なる計画も考えている」とのこと。ちょっと嬉しい話です。

こうしたストリートペーパーの国際組織INSP(International Network of Street Papers)によると、世界35カ国、25言語で100以上のストリートペーパーが出ていて、460万人の読者がいるそう。その各紙共、世界中に蔓延したコロナのせいで、どこも苦労しているでしょうが、ここで紹介した日米の二つのように、ホームレス支援のために頑張っていることを願うばかりです。