英国がジョンソン首相の肝煎りで肥満対策に乗り出しました。

7月27日に公表された保健省のポリシーペーパーには多岐にわたる内容が盛り込まれていますが、焦点の一つはHFSS(Hign in Fat,Sugar,Salt=脂肪、砂糖、塩分の高い)食品、平たくいうとジャンクフードの取り扱いです。

これは、ペーパーの後段部分にありますが、日本でも見かける「一つ買えば、もう一個が無料」みたいなHFSSのプロモーションの禁止や、レストランのメニューにカロリー表示することの義務付けに加え、対子供対策として、午後9時以前に、ジャンクフーズのテレビCMやオンラインCMを流すことを禁止するとしています。

従来から子供向け番組にジャンクフーズのCMを流すことは禁じられていましたが、新たに「9時以前」としたのは、<昨年9月の分析で、民放のITV、チャンネル4、チャンネル5、sky1で1ヶ月に流された食品広告のうち、ほぼ半分(47.6%)がHFSS製品のものであり、これは子供たちのテレビ視聴がピークの午後6時から9時には60%に上昇した>というデータに基づくものということです。

子供を肥満にしないために、美味しそうなジャンクフードの映像を見せないようにしようということです。

ただし、即実施ということでなく、保健省のペーパーでは「オンラインでの制限をどのようにするかを検討し、2022年末までにテレビと同時に実現することを目指す」とあります。

オンラインでの規制をどうするのかは、正直、見当もつきませんが、テレビの方は、単純です。

だからこそ、早々と民放テレビから悲鳴が上がっています。

この規制導入は既定のことだったようで、Gurdianは保健省のペーパーが出る以前の記事で、「民放は2億ポンド(270億円)の番組制作予算の削減を迫られれよう」と書いていました。

テレビ業界幹部の推定として、「最大手のITVは1億ポンド(135億円)、チャンネル4が4000万ポンド(55億円)」とし、「しかも、コロナ禍で広告が減って、製作費も劇的に切り詰めている上にだ」というわけです。

記事では、チャンネル4とITVのCEOだったというMichael Grade氏の面白いセリフも紹介しています。

「ジャンクフード広告の禁止が国民のウエストサイズを減らしたことを証明する証拠をみたことがない」

とはいえ、英国人に肥満が多いのは事実。Guadianの別の記事に、こんなグラフが掲載されていました。

Overweightとは太り過ぎで、BMI(肥満度指数)でいうと25-30の範囲の人、Obeseは肥満症でBMIが30以上の人を指します。Morbidly obeseはBMI40以上で病的肥満。この三つを足すと、大体3人に2人が該当します。

で、これまでもジャンクフーズの広告規制が試みられてきましたが、子供番組には流さないことを除いて、ほとんど実現しなかったようです。

ところが、今回のコロナ禍の最中に、ジョンソン首相自身が罹患し、集中治療室に入って、危うく一命を取り留めたことが、今回の保健省の発表に繋がったのだろうとAFPの記事が指摘しています。

この保健省ペーパーにもありますが、要は「太り過ぎで生活しているとコロナで入院、重篤な症状になるリスクが高いことが、ここ数ヶ月の研究で判明した」ということで、それが、肥満体だったジョンソン首相を動かしたんでしょう。

首相の昨日のTwitterにも「I was too fat」と述べ、今は愛犬のDilynと散歩を続けているというビデオが掲載されました。これはその一場面。(フォロワーは292万人)

かっては体重が108kgもあり、身長が175.3cmということで計算するとBMIが35.14と肥満そのものだったジョンソン首相、この画像から見る限り、だいぶスリムになったようです。

そして、こう言っています。「体重を減らすことは個々人にとっていいことだし、(無料で医療サービスが受けられる)NHS(National Health Service)を守るためにも役立つ」

ちなみに13年前の労働党ブラウン内閣当時にも、午後9時以前のジャンクフードCMの規制が計画されましたが、広告業界と民放局の反対で挫折しました。その時の旗振り役は保健相のAlan Johnson氏。奇しくも姓が同じ。もしや親戚かもと調べましたが、全く関係はなさそう。

そして、その時に、2期目のBoris Johnson”議員”はTelegraph紙に「馬鹿げたことだ」という趣旨の投稿をしているんですが・・・・