11月3日の米大統領選投票日まで1月余りに迫りました。その行方を左右するKey voter(鍵を握る有権者)の一つが若者票だとも言われますが、その若者に、米国では圧倒的な人気を集めるスマホ専用SNS、Snapchatが大統領選への啓蒙活動に熱心に取り組んでいますので、記録しておきます。

Snapchatは当初、知り合いに送った写真や動画が視聴後10秒ほどで消えるという機能が米国の若者の注目を集めました。しかし日本ではほとんど知られていません。私は2014年にアプリをダウンロードしましたが、日本人の知り合いは1人もできませんでした。

しかし、2015年の1月に、有力ニュースメディアが集合し、各自が独自コンテンツを提供する配信サービスの「Discover」を始めて、ユーザーはミレニアル世代(1975~1990年代前半生まれ)まで広がり、ユーザー数は米国だけで1億人と言われます。(そのDiscoverは、気がついたら日本から見られなくなっています。残念)

前置きが長くなりましたが、啓蒙活動の最新は、先週、Hypebeastが伝えたもので、週3日、放映の8回シリーズ「The Solution Committee」(解決委員会)の開始です。初回は昨日21日ということです。そのエピソード1がYouTubeにアップされてました。また、AXIOSによると、放映は月、水、金だそう。

で、二つの記事を総合すると、ホストはアメリカを代表する黒人俳優ウィル・スミスの息子ジェイデン・スミスで、ゲストとして、先日、このブログでプロが読む政治メルマガの発行人は18歳!で紹介したゲイブ・フレイシャー(Gabe Fleisher)君のような政治に関わる若手活動家や若者に人気の若手セレブを呼び出して、米国社会が直面する人種差別や警察改革などの社会問題に焦点を当てるそう。そして、その解決には選挙に行くことが大事だと訴えるというのが狙い。(ゲイブ君は早速、出演してました

スミスは「歴史的に18-23歳で投票に行く人は少ない。それは若者の多くが情報を持ってないか、どこで手に入れるか分からないからだ。この番組では若者を教育し、力を与えられたと感じ、投票に備えてもらう」とする声明を出したそうです。

しかし、投票するには「有権者名簿」に、自分で登録しないと投票権を獲得できないのが米国の仕組み。若者の多くはその登録をしていないケースが多い。

そこで、Snapchatでは、アプリ内に有権者登録が出来るポータルを準備しているのです。かっては書面で登録するしかなかったようですが、現在ではNCSL(全米州議会議員連盟)のページによると41州でオンライン登録が出来るようになっているからです。

その機能を、毎日、使うアプリ内に置くことで、登録を気軽に行わせようとしてるわけです。(番組の終わりにも「SWIPE UP TO REGISTER」と表示されていて、すぐに登録ポータルに飛べるようです)

実は、これが初めてではなく、2年前の中間選挙の時にもアプリ内ポータルの利用を促し、その時は45万人が登録し、うち半分以上が実際に投票所に出かけたそうです。

今回も、1週間前に登録者は40万人を超え、50万人に迫っている模様。新番組のスタートでさらに加速することでしょう。

このほか、9月22 日の全米有権者登録デーを前に、オバマ前大統領が初めて有権者になった若者らに向けて、新しいアプリ内ポータルで登録しよう、と呼びかける10秒ほどのPSA(公共広告)2本のほかシュワルツネッガー元カリフォルニア州知事らセレブやアスリートのPSAを何本も流したとADWeekが報じています

若者の有権者登録の増大、投票の行方がトランプ、バイデン両氏のどちらに有利に働くは断言できませんが、Facebookのザッカーバーグ氏とは異なり、トランプ氏の発言を問題視して、トランプ氏のコンテンツはDiscoverには掲載しないと早々と決めたことからして、CEOのエヴァン・シュピーゲル(Evan Spiegel)氏は、民主党支持なのかもしれません。