Wikileaksの創始者であるジュリアン・アサンジ (Julian Assange)氏のことはこのブログで何度も何度も取り上げてきました。

簡単に足跡を追うと、2010年にイラク戦争をめぐる米軍の機密文書などを大量に暴露した後、訪問先のスウェーデンで”ハニートラップ”としか思えない女性暴行事件で起訴され、英国に向かったところ逮捕されますが、保釈中にエクアドル大使館に逃げ込み亡命が認められ、以来、辛い籠の鳥生活が続きました。

大使館での生活は7年近くに及びましたが、エクアドルの大統領が左派系から親米派に変わったことで、亡命が取り消され、保釈中に逃げた容疑で英国当局に逮捕されました。そしてアサンジ 氏を重罪のスパイ罪などで起訴している米国から移送要請があって、その判断がロンドンにあるイングランド、ウェールズの中央刑事裁判所Old Baileyで争われていたのです。

その判決が昨日4日にあり、バネッサ・バライッツァー(Vanessa Baraitser)判事は、米国側の検察官の「アサンジ の行為は、ハッキングや盗みを唆して機密書類を入手して公開し、米国治安機関のために働いていた情報提供者の命を危険に晒した」「彼の行為はジャーナリズムの範疇にない」などとする主張をほぼ全面的に認めました

ところが、判事は、アサンジ 氏の自傷行為や自殺願望について概説し、今現在、アサンジ 氏が収監されているロンドンのベルマーシュ刑務所では、そのリスクが少ないように処遇されているが、米国に移送され、厳格な独房監禁で知られる”Supermax” 刑務所に収監されたら、「さらに精神的に追い詰められて、自殺は防げないだろう」との所見を述べ、米国がそれを覆す説明が出来なかったとして、「米国への移送は過酷だ」と移送を禁じたのです。

米国側は、「法的な問題では勝った」として、上級審に控訴するものと見られますが、英国の法律では、この「人道的に扱う」ことが求められていることから、BBCの法律担当のドミニク・カッシアーニ(Dominic Casciani)記者は「上級裁判官をその他の点で(移送の正当性を)説得しなければならない」と指摘しています

で、アサンジ 氏は弁護士と共に6日にはロンドン西部のウェストミンスター治安判事裁判所に出向き、保釈の申請をするとのこと。ただし、Guardianによれば、「アサンジ 氏が国外逃亡リスクに分類されているから、保釈が認められれば驚きだ」とする法律専門家の意見を紹介していて、先行きは微妙です。

しかし、今回の裁判所の決定には多くの肯定的な反応が出ています。その一つはメキシコ大統領が判決直後に「アサンジ 氏に政治亡命を提供する用意がある」とし、外相を通じて英国政府にその可能性を打診させる」と述べたことです。

一方、英国労働党の元党首ジェレミー・コービン(Jeremy Corbyn)氏は「判決は朗報だ。移送は報道の自由への攻撃になる。アサンジ 氏は解放されるべきだ」とツィートしました。

保守党のDavid Davis議員も「身柄引き渡しは阻止された。朗報だ。犯罪人引き渡し条約は政治的訴追に用いられるべきではない」とツィートしています。

その政治的支援がどこまで広がるかは不明ですが、アサンジ 氏には心強いことでしょう。6日の治安判事裁判所の決定に注目です。