日本時間21日未明にトランプ大統領の4年が終わります。それを前に、ビデオメッセージが公開され、「アメリカの安全と繁栄の継続が成功するよう願っている」とする一方、 「皆さんに知っておいてもらいたいのは、私たちが起こした運動はまだ始まったばかりだということだ」と、4年後の大統領選への意欲を示唆しました。
この「私たちが起こした運動」とは、前回のこのブログで紹介しましたが、議会乱入、暴動事件を唆したなどとしてTwitterから締め出された大統領が鞍替えした別のSNS「Gab」で述べています。
「私に投票した7500万人の偉大なアメリカの愛国者、AMERICA FIRST、そしてMAKE AMERICA GREAT AGAINは、長い将来にわたって巨大な声を上げるでしょう。それらは、いかなる形態においても、軽視されたり、不当に扱われたりすることはありません!!!」
それについて、アメリカ人はどう思っているのでしょうか?議会乱入事件後の1月10 日前後に行われた二つの世論調査でその件に関わる設問がありました。
その一つ、WashingtonPostとABCNewsの共同調査(電話調査:1002人)の設問はこうです。(調査データはこちら)
「議会はトランプを解任し、将来、公職に着く資格を剥奪すべきか否か」
民主党員と民主党寄り(以下民主党員)の89%がそうすべきだとし、共和党員と共和党寄り(以下共和党員)ですら12%が賛同し、全体では56%がトランプ再出馬の道がなくなることを望んでいるようです。
なお、「そうすべきでない」は民主党員が9%、共和党員が85%で、全体では42%に止まっていました。
これは、「トランプは議会乱入事件にどの程度の責任があるか」との問いに、共和党員でも「大いにある」12%、「相当ある」8%、「少しはある」22%で計42%もがトランプに厳しい目を向けていて、「全く責任がない」が56%に止まっていることが反映されているのでしょう。
民主党員はもちろんトランプに厳しくて「大いに」72%「相当」15%「少しは」7%、合計94%に達し、全体では「大いに」45%「相当」12%、「少しは」14%で合計71%で、責任なしは28%でした。
もう一方の調査はPew Research Centerによるオンライン調査(5360人)で、この件に関わる問いかけはこうです。
「あなたはこれから何年間もトランプが主要な政治家であり続けることを見たいか?」
「見たい」、つまり4年後の再出馬に向けて、これからも存在感を維持していて欲しいと考えている人は29%、「見たくない」の68%に遠く及びません。
共和党員ですら、「見たい」は57%止まり。党内保守派に限っても68%で、党内リベラル・中道派だと43%に止まります。
民主党員は当然「見たくない」が93%と圧倒的。党内リベラル派では96%に達しました。党内保守派でも90%です。
PewもPost-ABC調査と同様、議会乱入事件についてのトランプの責任について聞いています。
全体では、「大いに責任がある」52%「いくらか責任がある」23%で計75%、国民の4分の3がトランプの責任を問うています。これはPostーABCの71%に近い数字です。
その内訳は、民主党員だと「大いに」81%、「いくらか」14%で、計95%。これもPost-ABC調査の94%に符合します。
興味深いのは共和党員で、「大いに」18%、「いくらか」34%とトランプの責任を問う意見が合計すると52%と過半数を超えていることです。この辺りにも、もう「トランプを見たくない」という数字の高さに繋がる要素があるのかもしれません。
トランプ大統領は議会乱入事件ですっかりミソをつけた感じですが、それ以前の大統領選後の「不正選挙」呼ばわりなどの振る舞いでも、国民の評価を下げたようです。
選挙後のトランプを「素晴らしい(excellent)」と「良い(good)」と肯定的な評価はそれぞれ8%と15%の23%止まり。これに対し否定的評価の「口先だけ(only fair)」と「ひどい(poor)」は14%と62%で計76%となるなど惨憺たる数字です。その、反面、バイデン次期大統領への期待は高まっている感じ。
これもPost-ABC調査の設問「トランプはどのような評価で歴史に残るか?」で見ると、「傑出した(outstanding)」15%「平均より上(above average)」13%、計28%に対し、「ひどい(Poor)48%、「平均以下(below average)」11%の計59%(他に平均並み12%)で、これはオバマの計24%、クリントンの22%と比べるととんでもなく悪い。
かくて、国民の評価は極めて低いまま、意に反して、どうやら再出馬も望まれない雲行きの中で、間も無く、トランプ氏はホワイトハウスを出て行きます。
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