昨日25日の衆院予算委員会はコロナ、コロナ、とりわけワクチン接種が焦点の一つでした。
まあ、個人的には欧米ではすでに接種が始まっているのに、なんだか日本が出遅れているみたいなのが気がかりではあります。当方は高齢、基礎疾患ありなので、接種が始まれば、真っ先に飛んでいくつもりです。
しかし、誰もがそうではないようです。今年21回目となる世界的なPR会社EdelmanのTrust Balometerという調査によると、新しいコロナワクチンの接種に躊躇する人が世界的にかなりの割合で存在します。
調査は世界28か国、3万3千人を対象にオンラインで行われました。その結果、1年以内に接種を受ける意思があると回答した人は3人に2人(64%)に止まりました。
私のように、「始まればすぐに受けたい」、設問では「出来るだけすぐに(as soon as possible)」に接種を受けるという人は33%で、「開始後6ヶ月から1年のうちに」が31%という内訳です。
ちょっと意外なのは、日本はこの世界平均をさらに10%も下回っていたことです。28か国中、下から4番目、25位で、「すぐに」は、たったの18%で、「半年〜1年」が36%、つまり接種開始後1年以内に受ける意思のある人は54%に過ぎないという結果でした。
(グラフの「64%の上にGlobal27とあるのは調査対象者が少ないナイジェリアのデータをを世界平均から外しているためです)
日本よりさらに低いのは、フランス(52%)、南アフリカ(49%)、ロシア(40%)の3か国のみ。
逆に一番、接種意欲が高いのは、ジョンズ・ホプキンス大のまとめでは、感染者が米国に次いで多く、1千万人を超えたインドの80%で、始まったらすぐに受けたい人は51%もいます。
その2位は、感染者が900万人に迫り、世界3位のブラジルの76% 、その次が死者数が15万人に迫るメキシコの75%と続きます。
感染者2千5百万人、死者42万人弱と世界最悪の米国はなんと20位で59%。これはトランプ前大統領がマスクは不要などとコロナウィルス を軽視、共和党系の支持者を洗脳し続けた結果なのかもしれません。
また、変異種発生で感染爆発、ロックダウン中の英国は66%で13位というのも意外です。
しかし、ほとんどの国では、「すぐに」接種を受けるグループが30%以上なのに、日本がシンガポールと並んで18%というのはどういうことでしょう?「慎重」なのか「臆病」なのか。ちなみにシンガポールの死者数はわずか29人と、日本の死者のざっと200分の1程度ですから、切迫感が低いのはなんとなく理解できるのですが。
さて、接種希望者を、このEdelmanレポート独自の用語<Information Hygiene>、直訳すれば「情報衛生」ですが、思い切って意訳すれば「情報強者」か「情報弱者」で分類すると、「情報弱者」の方が接種希望率が目立って低いという結果が出たそうです。
ここで言う情報強者:Information Hygieneが「good」な人とは、「日常的にニュースに接している」「狭いコミュニテイでの情報を排除する」「情報は証拠によって検証する」「吟味されていない情報は拡散しない」の4項目中、3項目以上が当てはまる人です。逆に「poor」な「情報弱者」とは、当てはまるのが1項目かゼロの人です。(2項目の人はmoderate)定義はレポート53ページにあります。
その結果がこのグラフです。
世界平均で情報強者=Information Hygieneが「good」な人の1年以内のワクチン接種希望率は70%なのに対し、それが「poor」な「情報弱者」は59%とそのGapは11%でした。そのGapが2ケタに及んだのは28か国中16か国もありました。
Gapが最大だったのは英国で、強者は80%も接種を受けるつもりなのに、弱者は59%止まり、Gapは21%にも達していました。接種希望者が80%で世界最高だったインドでも、強者は88%が希望する一方、弱者は72%だったのです。米国でも69%対52%と、弱者にはワクチンへの期待度というか理解度が低いのが伺えます。
日本がこのグラフに登場しなかったということは、強者と弱者とのGapが10%未満だったということです。もしかしたら、日本には強者も弱者も少なく、多くは「moderate=ほどほど」な人が多いせいかもしれません。
なお、このレポートのための調査は2020年10月から11月に行われました。日本に関して言えば、非常事態宣言が出たのは1月6日でしたから、調査時点では今のような切迫感はなかったため、接種希望者の割合が低く出た可能性があります。
しかし、最近、気がかりなことがありました。朝日新聞系の雑誌「AERA」1月25日号のことです。Twitterで炎上しかかったのでご存知の方もいらっしゃるでしょうが、この中吊り広告のことです。
右端の見出しが問題になりました。「コロナ独自アンケート」と銘打ち、「医師1726人の本音」「いますぐ接種 3割」とあって、「ワクチンを擁護する」「家族に勧める」は少数派ーなどと続きます。
「どう見たって反ワクチンキャンペーンじゃないか!」「社会の敵」「雑誌を売るための逆張り」「アエラはコロナの収束を願っていない」という識者の批判がTwitterに溢れています。(Twitterで「アエラ ワクチン」で検索すれば山ほど批判投稿が出ます)
執筆記者もTwitterに登場して「一部を切り取って『反ワクチン誘導記事』と偏った捉え方をされていますが決してそのような内容ではありません」などと弁明しています。
記事をご覧くださり、ありがとうございます。
一部切り取って「反ワクチン誘導記事」と偏った捉え方をされていますが、決してそのような内容ではありません。ワクチンなしに収束はないと考えてますし、多くの方が接種するためにも、安全性の確認と正しい情報の周知が必要だとお伝えしたものです(続) https://t.co/Wrp745Mzbm— 深澤友紀 (@yuki_fukazawa18) January 21, 2021
しかし、余程の情報強者じゃなければ、この中吊りを見たら、「安易にワクチン接種するのは考えもの」と受け取るのが当たり前。何せ、あの「朝日」ですし。
日本人がこの手のなんの定見もない売らんかな広告や与太記事、中途半端なテレビ情報などにに塗れて、ワクチン接種希望率が世界有数の低さに繋がっていないことを願うばかりです。これからも心しましょう。
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