Wall Street Journalの日本版を眺めていて「ウーバー症候群、プライベートジェットにも定着か」という見出しに目が行きました。プライベートジェットといえば超お金持ちの世界、そこにタクシーより安いことでのしている配車サービスのウーバー並のシステムが流行ってるってどういうことか?

JALもANAもコロナ禍に大打撃を受け、この3月期には数千億円もの巨額赤字に転落する見通しだといいます。「会社四季報 業界地図」編集長によれば、2021年「落ちる業界」の3つのうちの一つに「空運」が挙げられているくらいですから、もしかしたらプライベートジェットも不景気でダンピングに走っているのか?

違いました。確かに欧米の航空業界も日本同様、大赤字ですが、ドバイに拠点を置きプライベートジェット会社VistaJetを運営するVista Globalは、コロナ禍で逆に業績が上がっているようなのです。

同社が1月末に公表したプレスリリースによると、サブスクリプションサービス「ビスタジェット」の新規会員数が、昨年は29%増加し、XOサービスの2020年のメンバーシップは240%増加したとあります。これを報じたForbesによると、XOサービスに加入したメンバーは平均10 万ドルをデポジットとして払ったとあります。

同社は非上場企業なので業績は明らかになっていませんが、Esquireのインタビュー記事(2020年10月24日付け)によると、Vista Globalの創業者で会長のトーマス・フローア(Thomas Flohr)氏は「(昨年の)8月になるころには、業績はパンデミックの前のレベルに戻っています。地域(国)によっては、パンデミック前以上に業績・利用客が増加してるエリアもあります」と答えています。

なぜ、コロナが猛威を振るう中で、VistaJetが堅調なのか。フローア氏によれば、「コロナ禍で人との接触を最小限にして目的地に直行できるメリット」が評価されたためだそう。これもフローア氏の言ですが「プライベートジェット利用者の人との接触数は一般的に20回とされ、一般航空会社の場合の700回より圧倒的に少ない」とのことです。

さて、話を元に戻してプライベートジェットのウーバー化という点ですが、それは上で太字で示したXOサービスのことでした。顧客がアプリを介してプライベートジェットを簡単に予約できるのです。

これは、このテクノロジーを開発したJet Smarter社を2019年春に買収して始めたサービスです。大企業の会長やCEOが正規のVistaJetのメンバーとして利用するのに対し、こちらはその他の重役クラスの利用を想定しているよう。

特徴はスマホのアプリで、瞬時に予約でき、料金も表示されます。で、「プライベート」といいながら、自分がチャーターしたジェットの座席を何席か売りに出すことも出来るのです。そうすれば割安になる!そして、自分でチャーターしないで売りに出ている席を探して予約する手もあります。

これがなんとなく配車サービスに似通っているし、買収したJet Smarter社自身が、かっては「プライベートジェットのUberと言われた」と買収を報じたCNBCの記事の見出しにあります。なのでUber化と見出しに付けたんでしょう。

ただし、料金の方はタクシーより安いウーバーのようにはなりません。サイトでも予約できるので、試しに成田からニューヨークに飛んだ場合の料金を調べてみました。

今月25日から28日までは同額で、「176,888ドル」とありました。なんと1870万円!片道ですぞ!やっぱり世界が違いすぎます。なんだかWSJの見出しに釣られた気分です。