午前中のウォーキングの友はNHKラジオ第1(今はR1って言うそう)の「らじるラボ」。「らじる」とは「ラジオをする」で、その実験室と言う意味でのネーミングらしい。
その司会の吾妻謙アナ、昨日は3時間半近くの番組を自宅のリビングから仕切った。これぞ時代にふさわしいリモートワーク実験だと感じ入った。その様子をTwitterにあげているので拝借。
【#吾妻謙 のつぶやき】
すっごく楽しそうな顔で「在宅リモート放送」笑。
放送機材に、パソコン、タブレット、スマホ2台を駆使してON AIR!
スタッフは画面越しに「キュ~!」
娘がおにぎりをほおばるのを横目に見ながらのトークは新鮮でした。
これぞラボ!
明日は通常放送ですよ!#らじるラボ pic.twitter.com/wt39TEWyvk— らじるラボ (@nhk_radiru_lab) September 15, 2021
番組ではこう言ってました。「どういう状況でも、安定して皆様に届けようということで、今日はメインの私がやっている」「自宅からのラジオ、新鮮な挑戦です」「(番組内で紹介するリスナーの)ツィッターは側の端末でチェックしてるし、(番組進行の)合図はテレビ電話の別回線で副調整室からキューが出てる。スタジオ内の映像もある」「ウチのリビングはいつもの132スタジオと同じ環境です」
そして、月面着陸を目指しながら事故で果たせず、地上からの支援で無事帰還した米国のアポロ13号を自らに例えて、「(NHK本局のある)渋谷のスタッフの支援でリモート出演です」と説明しました。
で、午前8時30分に始まった番組は11時50分に無事終了。コロナのせいでお子さん3人が自宅にいらしたそうですが、それを窺わせる生活音もなく、全く、普段と同じ感じで進行、終了、という感じでした。
なんだか、コロナ禍で一挙に当たり前になった在宅勤務、リモートワークの時代を改めて感じさせる一件でした。しかし、普段と同じじゃあ、逆にリモートワークの特徴を活かせなかったとも言えます。
実は、コロナウィルスが猛威を奮い始めた昨年4月に、まだワクチンもなかった時期、米国のテレビの一部がリモートワークの番組を取り入れている実例を、このブログで紹介しました。例えばこれ。当時73歳ながらバリバリの現役で、「Andrea Mitchell Reports」を仕切るAndrea MitchellさんがTwitterに載せたのがこれ。右の写真は吾妻アナ同様、自宅リビングからの出演模様。左の写真は夫の元FRB議長の超大物アラン・グリーンスパン氏で、彼は別の階で、ウェブ会議をしている模様です。
Upstairs Downstairs sheltering at home! pic.twitter.com/M3HDhdJyyY
— Andrea Mitchell (@mitchellreports) April 1, 2020
また、「生活音を出さない」のではなく、愛くるしい幼い息子を積極的に登場させて人気になっているケースもありました。例えばNBCテレビの朝番組「Today」の共同アンカーSavannah Guthrieさんの場合はこういう具合。起き抜けの息子たち、寝癖がついてます。
当時のNYタイムズはこうした動きをまとめた記事を書いてますが、その見出しには「requires extra creativity」特別な独創力が必要だ、と指摘していました。簡易な放送機材で自宅の同じ模様からスタジオと同じ感覚で放送していたら飽きられる、ということでしょう。
Pricewaterhouse Coopersが今年8月に調査したところ、コロナが懸念されなくなっても、週5日、自宅で仕事をする完全なリモートワークを望む人は全従業員の5分の1(19%)にも達したそうです。これに週4日自宅勤務の8%、週3日自宅勤務の17%を加えると、なんと54%に達します。
その希望通りには行かなくても、自宅勤務が嫌だという人はたったの8%です。日本でも徐々に自宅でテレビ、ラジオを視聴する機会が増えることでしょう。その時代を見据えた観点からすると、今回のNHKラジオの実験は物足りなかった、という感じです。もっとお子さんの声なり、ご近所さんの声などをライブで入れた生活感のある番組作りでも良かったかも、です。ま、NHKはそんな観点とは無縁だったかもしれませんが。
らじるラボのTwitterで、吾妻アナがつぶやいているように「これぞラボ」らしい試みに期待したいものです。
そういえば、数ヶ月前まで、らじるラボのエンディングは弾けるような声で「あなたの吾妻謙でしたあ〜」だったけど、最近は「アナウンサーの吾妻謙でした」と大人しく味気ない。視聴者に寄り添うような「あなたの吾妻謙でしたあ〜」の方がずっといいと思うけど。(えらい人からクレームがついたのかしらん)
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