先週末の10月2日から、日本郵便は普通郵便の土曜配達を中止しました。で、翌3日の大河ドラマ「青天を衝け」では前島密が、郵便制度を始めたエピソードがサラリと描かれていました。これが1871年のこと。ちょうど150年前のことです。
日本より半世紀以上前に郵便事業を始めた米国が普通郵便(first class mail)の土曜日配達をやめたのは2013年のこと。その事業を引き継いでいる米国郵政公社(USPS)が、奇しくも日本と同じ10月2日から、郵便物の到着までの日数を、全国どこでも「3日以内」だったものを「5日以内」に切り替えました。
日米、共にインターネット、スマホの普及で郵便物が激減したことで採算が合わなくなり、サービスの後退に追い込まれているわけです。
ワシントンポスト(WaPo)の10月1日の記事は、到着までが遅くなるだけじゃなく、料金引き上げも相次いで待っていると詳しく報じていました。日本郵便のように、利益を生む銀行、保険部門を持たないUSPSの方が、日本よりずっと深刻なようです。
WaPoがUSPSの資料などを元にしたまとめた普通郵便の到着までの基準はこうかわります。
これまでは、全ての普通郵便は全米、どこであろうがに3日以内だったものが、約3分の1(31%)が4日から5日かかることになります。なぜそうなるかの1番の理由は、例えば東海岸から西海岸への遠距離郵便は、これまでは飛行機で運んでいました。その量は全体の2割に達していたとか。それを12%にまで減らして、トラックで運び、経費を削減します。
これによって、WaPoの分析によると、例えばネバダ宛ては70%、フロリダ宛ては60%など、27州宛ての3分の1の郵便物の到着がこれまでより日数を余分にかかることになるそうです。
しかも、新基準発足翌々日の10月3日から、早々とクリスマスを見据えたホリデーシーズン上乗せ料金がスタートしたそうです。期間は12月26日まで。
例えば日本の速達にあたるpriority expressや普通郵便で送れない大判資料などを早めに送るpriority mail、小荷物を送るparcel selectなどは5ドルも追加チャージされるそう。
ホリデーシーズン上乗せが終わっても、以前のようにはなりません。DMなどは1ドルから1.16ドルに、原稿やビデオテープなどを送るmedia mailなどは40セント上がって4.11ドルになるそう。
そして、極め付きは、郵政規制委員会が公表したUSPSの料金引き上げスケジュール。今後、毎年2回、1月と7月に料金”調整”を行うというものです。来年1月は見送るとのことですが、7月には引き上げ必至ということです。
日本郵便に比べて、なんとも強引と見える値上げ路線ですが、それもこれも、赤字続きで1884億ドル(21兆円)に達した負債の重みです。しかも、USPSの Louis Dejoy総裁によれば、このままでは、今後10年でさらに1600億ドル(18兆円)も積み上がるというのですからたまりません。
そのDejoy総裁による10年計画「Delivering for America」で、空輸費用を削減し、値上げや郵便局の営業時間を減らして節約して、今後10年間で450~690億ドル(5兆円〜7.6兆円)の新たな収益を上げようという目論見。
USPSの財務がここまで悪化した理由は、インターネットのせいだけではないようですが、まあ、値上げしても泥沼状態から簡単には抜け出せそうもないですね。その点、土曜配達はやめたとはいえ、速達料金を1割下げるなど、まだ日本郵政には余力があるよう。日本人としてありがたい。まあ、日常の連絡はデジタルにおきかわっても、たまには手紙も書きたいですから。筆マメじゃあないですけど。
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