またまたSNSの威力を感じさせる一件です。
まずは、このTikTokのショートムービーをご覧ください。

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@blaqazzrick01 #popeyeschicken #mickeymouse #ratsfarm #runandhide ♬ original sound – blaqazzrick01

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場所は米国、ワシントンDCのフライドチキンなどで有名だというPopeyes というレストランチェーン店の一つ。もう閉店時間。登場するのは、調理用の生チキンを配送しているという黒人男性。商売柄か、調理場に入る鍵を持っているのでしょう。入ってすぐにライトをつけると、なんとネズミがうじゃうじゃ。天井の穴に向かって駆け込むものや床を這い回るもの・・・・ビデオはハッキリとらえます。

以前から配送のたびに目にしていて、耐えられず”告発”する思いが募ったのかもしれません。

この男性、Ricardo Landさんは言います。「まだ、チキンは好きかい?」 そしてその晩に撮影したビデオを10月11日にアカウントを持つTikTokにアップしました。行列ができるほどという人気チェーンの”醜態”とあって、たちまち広まります。

「いいね」は今日現在、40万をこえ、コメントも20万弱、シェアも14万弱に達しています。視聴数はアンドロイドOSのスマホにしか表示されないそうなので、私には確認できませんが、おそらく「いいね」の何倍もあって、2,3百万回はあったでしょう。

この爆発的な広がりで、ワシントンDCの保健衛生当局が10月28日に検査に入り、Washingtonianの記事によると「17の違反が見つかった」そう。廃油タンクのそばにネズミのフンが見つかったり、厨房の天井に穴があったりなどのほか、1番の問題は、冷蔵庫と冷凍庫の温度計が故障していて、適切な温度を保っていなかったことでした。

そこで、当局は全ての食材の廃棄と、冷蔵庫、冷凍庫の使用中止を指示しました。このため、この店は即日、無期限の閉店に追い込まれました。今日、当該の店を検索しましたら、<closed>のままで、一週間先まで、やはり<closed>のまま。まあ、評判が落ちちゃうと、お客さんの戻りもあんまり期待できないかもしれませんね。

ま、お店の苦衷はそれとして、Landさんの”正義感”は実った格好ですが、実は、彼はその後、解雇され、配送の仕事を失っていました。で、そこからがまた今風というか、彼は個人向けクラウドファンディングサイト、つまり募金サイトGoFindMeを利用することを思いつきます。

そのページには<Created 7 days ago>とありますから、米国時間だと多分11月2日ごろ。説明文には大要、こうあります。

「ポパイズの店でネズミが大量発生したことを暴露したため仕事を止められた。私には5人の家族がいますが、雇用主に傷つけられ、家賃や食料などが買えなくなります。みなさん、できる限りのご寄付をお願いします」

その目標額は1万ドルに設定しました。とりあえず、「次の仕事が見つかるまで100万円ほど」という感じだったんでしょうか。が、その目標はあっという間に超えてしまいます。どうやら2日目か3日目には超えたようで、Landさんは5日に「皆さんの支援に感謝する」と書き込んでいます。

そして今現在の寄金額は39,171ドル。まもなく目標の4倍に達しそうです。Landさんの要請は1,300回もシェアされ、寄付を寄せた人の数は18,000人とあり、その内訳を見ると圧倒的に10~20ドルの小口です。多分、その多くは、Landさんのショートビデオを見て、「よくやった!」と共感を寄せた人たちなんでしょうね。

冒頭に「SNSの威力」と書きましたが、SNSを通して行動することで苦境に陥ったLandさんですが、そうすることで行政も動き、生活上の苦境を救うのもSNSの延長上にあるネットの仕組みでした。既存メディアはそんな複合的なパワーを持っているのか、ちょっと不安になりました。(ま、実は出来すぎた話、という感じがちょびっとですが、しないでもないんですが・・・・)