クレムリン御用達の国営テレビ局チャンネルOneの看板ニュース番組に乱入、ウクライナ戦争への反対をアピールした同局のプロデューサー、マリーナ・オフシャンニコワ(Marina Ovsyannikova)さん、世界的な有名人となり、欧米ばかりか、日本のテレビ局までインタビュー(これこれ)していますが、これに業を煮やしたか、当のチャンネルOneが「彼女は英国のスパイだ」などと言い出しました。

なんだか、彼女がいうように、同局はクレムリンのプロパガンダ情報ばかり流すという主張を裏書き、強化するような荒唐無稽な話に聞こえます。

「スパイ説」を唱えたのはチャンネルOneのニュース部門トップのキリル・クレミョーノフ(Kirill Kleimyonov)氏。これを最初に伝えたのは、多分、Financial Timesのモスクワ支局長Max Seddon氏のTwitterの投稿です。

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これは、20日にチャンネルOneで流されたもののようで、Mediaiteの記事によるとFTのSeddon支局長がその映像を入手、翌21日に投稿しました。

その内容はINSIDERの翻訳によると、あらましこんな内容のよう。

「彼女は、抗議行動を起こす前に英国大使館と接触し、国と我々全員を裏切った」「彼女は英大使館員と話した。普通、ビザの係以外と誰が話すものか」「自分の国を裏切り、同時に私たち全員ー彼女が20年近く肩を並べて働いてきた人々を裏切るとき、しっかりしたボーナスのために、冷たく計算して裏切ったのです」

何時、誰とどんなことを話したか、あるいは、どんな報酬の約束があったのか、などは一切示さず、なんの根拠もなく、オフシャンニコワさんが「金に目が眩んだ売国奴」「英国のスパイ」だと決めつけたようです。

私は、Seddon支局長がFTの紙面にさらに詳細な記事を書いているはず、と思って、昨日、今日とFTのサイトで検索しましたが、見当たりません。NHKも「NHK-World Japan」で昨夜遅く発信していますが、日本語放送では無視したようで、サイト内には見当たりません。FTもNHKも「これもプロパガンダの一種」と判断したんでしょう。見識です。

にも、関わらず、このブログで取り上げたのは、プロパガンダに乗っかったわけでなく、こんな圧力の中でも、ロシアに止まり、ABCニュースのステファノポリス氏のインタビューでも「私は愛国者。フランスの亡命提案も断った」と言い切るオフシャンニコワさんの勇気に頭が下がり、この先が気がかりだからです。