ーーあなたがこの記事をこのウェブサイトで読んでいるということは、あなたがどんな人なのか、いくつかの基本的な仮定をすることができるということです。おそらく、あなたは大卒で、年収が5万ドル以上ある人でしょう。おそらく、あなたは2020年にドナルド・トランプではなく、ジョー・バイデンに投票したでしょう。

ーーあなたは例外かもしれません。しかし、YouGovとEconomistの新しい世論調査が示すように、メディア消費には、教育、年齢、収入、そして所属政党に相関するパターンがあります。 (中略)新聞の読者層はすでに確立されたものであり、新聞を売ろうとする人たちのこだわりのようなものだからです。この新しい世論調査は、人々がどこでニュースを入手し、どの報道機関を信頼しているかを考える上で、魅力的な幅を与えてくれます。

こんな書き出しに惹かれて、Washington Postの記事を最後まで読んでしまいました。もちろん、私はアメリカ人じゃないけれど、一応、大卒だし、現役時代は、世間並みのお給料を貰っていたし、トランプが大統領に再選されなくて良かったと思ったクチで、大まか当てはまるし、内容は当方の関心分野であるメディアに関する話のようなので・・・・

で、読み進めるうち、世論調査って、こんな風にも分析して料理できるのかと驚嘆したので、その一部を紹介します。いくつかグラフに集約、転換しているのですが、まずはこれ。アメリカ人はどこからニュースを入手しているか、というもので、30歳以下と65歳以上に分けて見ています。

自転車のスポークのような10本の先にあるのは新旧メディアのジャンル。二つの輪っかの外側は50%、内側は25%です。例えば、紫色で示された65歳以上の高齢者で、CNNやFoxNewsなどのケーブルテレビや、ABC、CBS、NBCの3大ネットワークテレビからニュースを取得している人は50%以上に達するということです。そして、ボリューム的にも圧倒的に多い。

で、これを褐色の30歳以下(仮に若者層とします)と比べると明らかな差異が見られます。若者でケーブルテレビやネットワークテレビでニュースを見るのは25%内外で高齢者の半分以下。量的にも少ない。

逆に、当然といえば当然ですが、ソーシャルメディアやYouTubeからのニュース取得は、高齢者の倍ほどに見えます。

ちょっと嬉しいのは、新聞は高齢者のものに見られがちな中で、確かにローカル紙は、高齢者によく読まれていますが、National newspaper=全国紙のNYT、WaPo、WSJ=に限れば、高齢者より若者の接触率が高いことです。3紙は「紙」の新聞はもちろんですが、いずれのウェブサイトも有料なのにもかかわらずです。まあ、この3紙は、「紙」より「デジタル」が充実していることが、若者に受け入れられている、という見方ができるのかもしれません。

さらに、右翼のFox NEWS、極右のBreitbartやNewsMaxやOneAmericaNews(OAN)などが含まれるConservative sitesからのニュース取得は、若者の方が高齢者に比べて極端に少ないのが特徴です。

とはいえ、高齢者も右翼サイトのニュースを手放しで信頼しているわけではないようです。それを示すグラフはこれ。

上にあげた右翼メディアの中で。一番信頼度が高いFox Newsについての高齢者の信頼度は4割にも届かず、トランプ大統領の首席戦略官を務めたことで有名になったスティーブ・バノン氏のBreitbartに至っては2割にも達していないのです。もちろん、若者の信頼度はさらに低い。

さらに、個々のメディアへの信頼度を民主党、共和党支持者、及び無所属に分けてみると極端なことになります。

ブルーの民主党支持者は、NYT、WaPoの二大紙の他、日本でいえばNHKのようなPBSやNPR、三大ネットワークテレビ、ケーブルテレビニュースのCNN、MSNBC、通信社のAPと、全てに50%以上の信頼を寄せているのに対し、共和党支持者で50%以上なのはFox Newsたった一つ!言ってみればニュース取得の視野が民主党支持者に比べ、極端に狭い。それが、ケーブルテレビニュースの視聴者数でFoxNewsが首位でい続ける理由でもあるのですね。

近年、あらゆる懸案で民主、共和で極端に対立する一因はこうした国民のメディア選択の相違にあるのだと納得させられます。数字を見るのにスクロールするだけで大変な世論調査結果をビジュアライズする手法、今後、広まるかもしれません。