3月29日に、鳴り物入りでスタートしたはずのCNNの有料デジタルネットワークCNN+が、今週末の4月30日に終了というニュースには驚かされました。
日頃、CNNのサイトにはお世話になっているので、一体、どうなっているのか、どういうわけなのか? 多くのネット記事を漁りました。主なところはNew York Times、Washington Post、AXIOS、Nieman Lab、CNBC・・・CNNなどですが、日本語のMedia Innovationで土本学さんが執筆された<「世紀のドタバタ劇」3億ドルを投資した「CNN+」が僅か一ヶ月でサービス終了>がよく纏まっていると思いますので、ここでは繰り返しません。
さらに詳しい経緯に関心のある方はNYTやNiemanLabなどの記事をお読みいただくとして、私が気がかりだったのは、この「世紀のドタバタ劇」でサービスが停止することの巻き添えで仕事を失うCNN+の従業員のことでした。
何せ、このCNN+、1980年設立のCNN始まっって以来の大プロジェクトということで、かっての親会社AT&Tから10億ドルの予算を認められていました。そこで従業員もなんと700人も全米から新たに採用していたからです。
その多くはジャーナリストです。全員解雇なら、歴史に残る大事件かもしれません。と、いうことで米国メディアの記者たちにも関心が強いと見えて、多くの記事がこの点に触れています。内容に大きな違いはありませんでした。
というのも、次期CNNのCEO、クリス・リヒト(Chris Licht)氏の内部メモが存在し、そこに従業員の今後の処遇が記されていたようなのです。
それによると、700人の全従業員は、CNN本体、CNNデジタル、ワーナーメディアとディスカバリーとの合併で誕生したWBD(Waner Brothers Discovery)の関連会社、その他で再就職の機会を探すために、90日分の給料とbenefitsを支給するとのこと。benefitとはおそらく健康保険などのことでしょう。
ワーナーメディアは、経営統合に至るまで、新規採用を凍結していましたが、それも解除されたので、約100名という編集部門中心の募集に応募できるよう。また、エンジニアやデザイナーなどのバックエンド人材は、統合会社でのストリーミング業務などで数百の業務に応募できそうだとのこと。
それでも、仕事が見つからない場合は、最低でも6ヶ月分の給与相当分が退職金で支払われるそうですが、WBD内部の関係者によると、700人中、半数の350人が、実質解雇のレイオフになるという見方をAXIOSのサラ・フィッシャー記者が報じています。
ジャーナリストの”大虐殺”ですが、少しでも再就職を助けたいと、CNN+に番組ホストとしてスカウトされ、たった1ヶ月でその番組も無くなったケイシー・ハント(Kasie Hunt)さんがTwitterで立ち上がっています。彼女は64万5千人ものフォロワーに向かってこう書きました。
The journalists I have been privileged to work with on CNN Plus are world class
I am so incredibly proud to be able to call them colleagues
If your organization would like a chance to benefit from their talents, my DMs are open
This is *my* job for the foreseeable future
— Kasie Hunt (@kasie) April 21, 2022
「CNN+で一緒に働く特権を与えられたジャーナリストたちは世界トップクラスです。彼らを同僚と呼べることをとても誇りに思う。あなたの組織が、彼らの才能を生かす機会を得たいなら、私へのダイレクトメッセージはオープンです」
就職を仲介するってことでしょう。彼女はCNN+にスカウトされる前はMSNBCのトークショーを持つ人気政治記者でした。Tweetには好意的なリプライが多く寄せられています。彼女の同僚を思いやる気持ちが通じることを、心から願わずにいられません。そして多くのジャーナリストがなんらかの形でこの理不尽な”大虐殺”から逃れることも。
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