“Webとクルマのハッカソン”

コネクテッド・カー時代におけるWebと車の連携アプリ/サービスを創発しよう!

今世界中でインターネットとつながるクルマが増えつつあるとともに、W3CでもVehicle APIの標準化が進められるなど、クルマがWeb技術を利用する取組みに期待が高まっています。

そこで、本ハッカソンでは自動車の走行状態に関するデータ(車速、アクセル、ブレーキ、エンジン回転数、オドメータ、ハンドル角度、燃費、車両位置、ドア状態、加速度、など)を利用しつつ、 HTML5などWebプラットフォームを活用したアプリケーション開発を競っていただきます。

クルマの情報とWeb技術の融合から生まれる新しいサービスやアプリを仲間と考えることで、クルマを取り巻く素晴らしい未来を共に創りましょう!

Webとクルマのハッカソン実施結果

2016年1月30~31日、50名のWeb開発者、デザイナーが集まり、 「Webとクルマのハッカソン」が開催されました。今回は、総務省、情報通信技術委員会(TTC)、日本自動車研究所(JARI)の後援、トヨタIT開発センター、日産自動車、本田技研工業など、自動車関連、情報関連、計21の企業・団体からの協賛を受けて行われました。

初日は、今回のハッカソンで提供されるW3C Vehicle APIの説明に引き続き、開発環境のチュートリアルが行われた後、11チームに分かれて開発作業を開始しました。APIの使い方や走行データへの問い合わせなど、開発スタッフに熱心に質問する参加者も多く、作業時間ぎりぎりまでコーディングが続けられました。2日目午後のチーム発表では、工夫を凝らしたWebアプリのデモが行われ、審査委員を大いに悩ませた結果、次のアプリがそれぞれ表彰されました。

開催当日の様子①(チュートリアル)

イメージ図
※実験車両により紹介した技術は、SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)・自動走行システムに係る研究開発の一部である総務省の『ICTを活用した次世代ITS の確立』による委託を受けて実施した研究開発による成果です。

開催当日の様子②(開発作業、成果発表等の様子)

チーム名 発表アプリのタイトル 表彰
A MY DRIVE
B BIG SAFE
C マナライザー
D Metrocar
E Yotta 最優秀賞
F E.MU
G Vehicle APIによるホスピタリティの提供
H パトメーター
I Elekiter 優秀賞
J ノマドファーム
K yowanai 特別賞

最優秀賞

Eチーム

Yotta

【アプリ概要】

乗り物酔いを解決するアプリ
酔いやすい運転をしているかどうかを、ドライバーに伝える。
具体的には、運転のうまさ(色)、気持ち悪くなるような運転をしているか(波の高さ)、といったUIでスマートフォンに表示する。
ISO振動基準の動揺病評価値(加速度の積分、酔いやすい揺れの周波数)を用いて酔いやすさを判定するほか、同乗者からのサイン(同乗者のスマートフォンでYottaボタンを押す)で酔いやすさをドライバーに伝える。
家庭のクルマだけでなく、バスやタクシーでも利用できる。
◆走行シーン(下りカーブ)合わせて、波が高くなる様子がスマートフォンに表示されるデモを実施。


【審査員コメント】

実現性、デモの完成度を含め、総合的に優れていた。
Web APIをうまく使えていた点も評価できる。


【受賞者コメント】

とても楽しいハッカソンを開催していただきありがとうございました。
1日目の帰るときまで皆で内容や設計について相談していたシステムでしたので、このような評価をいただき非常に嬉しいです。
4月からチームのメンバーはバラバラの職場で働くことになりますが、もし次回のハッカソンがありましたら、是非参加させていただきたいと思います。本当にありがとうございました!

優秀賞

Iチーム

Elekiter

【アプリ概要】

車内でのエンターテイメントに徹したシステムを開発。
名所や旧跡の近くを通りかかると、地図が「古地図」に変わる。これはMapFanAPI(インクリメントP)を使って実現している。また、運転状況に応じて、BGMのテンポが変化したり、ハンドルを回したときに効果音が出る。これには、車速やハンドル切り角のAPIを使って実現している。
運転が終わると、走ってきたルートの名所旧跡等がタイムラインに沿って表示できるようになっている。
◆走行シーン(箱根関所)に合わせて、古地図に切り替わったり、BGMのテンポが変化する様子のデモを実施。


【審査員コメント】

運転そのものをエンターテイメントにするというコンセプトに共感した。
イライラしがちなドライバーが楽しく運転できるようになると嬉しい。


【受賞者コメント】

今回の様なイベントは初めてで、どんな雰囲気の中で実施されるのかわからず、十分な準備もなく気楽に参加したのですが、他の参加者のモチベーションは予想を超えており、少々気おくれしました。その中で時間内でぎりぎりまで開発にチャレンジしました。そのため、プレゼン準備がほとんどなかったのですが、何とか審査員の方々に評価をしていただき、少々驚きました。今後も、チャンスがあれば他流試合に挑戦していきたいと思います。

特別賞

Kチーム

yowanai

【アプリ概要】

コンセプトは乗り物酔いを無くす。乗り物酔いは、「人の予想」と「体にかかる力」の違いが原因で起こる。yowanaiは、スマートフォンの画面に直近のクルマの傾きを予測して、その方向に画面表示の傾きを変化させる。画面を見ている同乗者は、予測された傾きと体にかかる力が一致して酔わなくなる。よく、車内でスマホを見ると酔いやすいというが、スマホを見ることで酔わなくさせる。
◆走行シーン(カーブの連続)に合わせて画面の角度が左右に傾く様子のデモ)


【審査員コメント】

酔わないためにはスマホを見ないというのが普通の考えなのに、敢えて、スマホを見るにはどうすればよいかという果敢な姿勢、ブラウザの上でコンテンツをひねってしまおいうという発想が新鮮であった。


【受賞者コメント】

ハッカソン初参加でしたが、皆さん1日半という短期間でレベルの高いアプリを作りきってしまうことと、レベルの高いプレゼンテーションに驚きました。会場には参加者、主催者共にモチベーションが高く良い緊張が漂っており、とても良い刺激を受けてあっという間の2日間でした。Vehicle-APIやWeb-APIを使い、ユーザが使ってみたいと思えるものは何だろうという観点でアプリを作り上げました。

今回特別賞という光栄な賞をいただくことができ、また様々な方と交流させていただき貴重な経験をさせていただきました。主催者、参加者の皆様本当にお疲れ様でした!

開催当日の様子③(最後に記念撮影)

開催概要

日時
2016年1月30日(土)~1月31日(日)
場所
住友不動産飯田橋駅前ビル
テーマ
“Webとクルマのハッカソン”
~コネクテッド・カー時代におけるWebと車の連携アプリ/サービスを創発しよう!~
参加者人数
50名程度
審査委員長
中村 修(慶應義塾大学 環境情報学部 教授・W3C/慶應 サイトマネージャ)
審査委員
中島雄二(日産自動車株式会社 グローバル技術渉外部 シニアエンジニア)
宮腰徹也(本田技研工業株式会社 グローバルテレマティクス部 アプリケーション開発室 室長)
野辺 継男(インテル株式会社 戦略企画室 ダイレクタ (兼) 名古屋大学 客員准教授)
羽田野 太巳(株式会社ニューフォリア 取締役 最高技術責任者)
白石 俊平(株式会社オープンウェブ・テクノロジー 代表取締役)
主催
「Webとクルマのハッカソン」実行委員会
協賛
(株)トヨタIT開発センター、日産自動車(株)、本田技研工業(株)、W3C/慶應、(株)ACCESS、(株)ニューフォリア、アルパイン(株)、パイオニア(株)、富士通テン(株)、インテル(株)、AutoMotive Grade Linux(AGL)、(株)ガリバーインターナショナル、キャンパスマップル(株)、インクリメントP(株)、(株)自動車新聞社、(合)フィラメント、アイシン精機(株)
API協賛
(合)ユメイク(YuMake)、(株)昭文社(MAPPLE)、インクリメントP(株)、富士通テン(株)、(株)KDDIウェブコミュニケーションズ(Twilio)
後援
総務省、一般社団法人情報通信技術委員会(TTC)、一般財団法人日本自動車研究所(JARI)
事務局
(株)KDDI総研

参加者の声

・初めてのハッカソン+2日間で参加でしたので、疲れましたが色々なアイデアを見れて楽しめました。
・各チームの開発の環境( ディスプレイや、スペース )が整っており、お弁当もいただけたので良かったです。
・普段なかなか使えないデータを使ったハッカソンで、アイデア練りから実装までとても楽しめました。
・普段触れない技術に触れることが出来た。
・Vehicle APIの使用経験を得られましたので満足しています。
・クラウド(サーバ側)が必要なAPIが多く、ハッカソンの会場で使えるサーバがあればもっと開発が進んだと思います。アイデアソンではないので作ることを主体と考えています。FTPとWEBサーバなど利用できる環境ということです。チーム参加の場合もバイアスがかかってしまうので、個人参加は準備不足は否めません。
・いろいろな立場の方の考えや発想を知ることができた。
・人数が集まりメンバーに恵まれた。
・世間にないデータ、環境が提供されていた。
・時間が不足していた。 事前情報がもう少し欲しかった。
・現地で夜間開発ができなかったことと、チーム間の交流がなかったこと、提供APIの種類が少なかった(具体的には、車両APIで取れる情報が少なかった)ことが少しだけ残念でした。
・APIから取得できる情報が少ない。
・会場が広くて快適だった。 用意いただいた走行データも自分で準備するのは大変なデータあり、ありがたかった。
・組むメンバーが重要ですね。
・いろいろな方との交流もでき、自分達の実力の位置付けもわかったので満足しました。
・はじめて参加したハッカソンでしたが、とても優秀な方々と2日間プロダクトを作る経験ができてよかったです。
・クラウドを介してVehicle Information APIを取得する仕組みが良く出来ていて、使っていて楽しかった。マッシュアップのAPIを様々用意されていたし、開発環境も整っていて、開発に集中できた。
・会場の広さも十分なスペースで快適でしたし、コーヒーやお菓子などを支給していただけたので、開発に集中することができました。
・この分野の第一線の先生方が審査員をされていて、質問を聞くだけでとても勉強になった。また、ハッカソン常連者も集まっていてチャレンジしがいのあるイベントだったと思います。
・作業環境に大満足です。
・非常に有意義なチャレンジになりました。 ただ、実装を最終目標に考えると、少々時間が足りないという印象を持ちました。
・個人参加の場合は事前にアンケート等を取り、それを考慮したチーム編成を行えばより良くなるかもしれません。
・長時間座って作業を行うのに椅子が固い。
・ゼロから開発をする楽しさを感じました。
・APIの完成度が高かった。 サポートもしっかりしていた。
・他の人の着目した点や活用した点に共感を覚えました。 webを介してできることを見くびっていたことを痛感しました。
・初めての参加でノウハウだったりアイディア力だったり、自身の物足りなさを感じつつの参加ではありましたが、昨年参加したアイデアソンとは異なり、実際にものづくりに挑む雰囲気感が楽しかったです。

開発環境

・開発環境の構成
◇W3C Vehicle API(*) Polyfill
W3Cでは自動車の各種走行情報をWebアプリケーションから利用するためのインターフェース仕様である W3C Vehicle API を策定中です。
現在は仕様は未確定でありGoogle Chrome等一般的なブラウザではサポートしておりませんが、当ハッカソンではW3C Vehicle APIを利用するためのPolyfill(JavaScriptライブラリ)を提供します。  

(*) W3C Vehicle Information Access API および W3C Vehicle Data。詳細は以下URL参照。
*1)http://www.w3.org/TR/2015/WD-vehicle-information-api-20150616/
*2)http://www.w3.org/TR/2015/WD-vehicle-data-20150616/

◇車両エミューレション環境(クラウド)
W3C Vehicle API Polifillは本来、自動車からの情報入力なしには動作しませんが、
サーバーに蓄積した走行データを利用することで、自動車との接続を代替する車両エミューレション環境を提供します。
本エミューレション環境では、走行時の映像再生と同期して走行データが供給されます。

・利用可能な車両情報
 車速、アクセル、ブレーキ、エンジン回転数、オドメータ、ハンドル角度、燃費、車両位置、ドア状態、加速度(3軸)、など
 ※主催者側で各種走行データをあらかじめ準備します。

・実行ブラウザ環境:
 Windows(Windows7以降), Linux(Ubuntu12.04以降), OS X 各OS環境上のGoogle Chromeを想定します。

開発環境のイメージは下図をご参照ください。その他APIのサポートも予定しております。
イメージ図
車両エミュレーション走行映像(9分14秒)
(本件は、SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)・自動走行システムに係る研究開発の一部である総務省の個別施策『ICT を活用した次世代ITS の確立』として開発し、W3C TPAC 2015(2015年10月26日~30日:札幌)で発表されたものです。)

走行データ

市街地、高速道路など30シーン以上の走行データを準備しております。
一部シーンについては、以下で走行時の映像を御覧いただけます。